2021年、8代目の新型が日本市場にお目見えしたVW『ゴルフGTI』。初代のアウトバーンで高性能車を負かす性能で脚光を浴び、“GTIクラス”の呼び名まで生んだ元祖ホットハッチだ。今回はその歴代GTIの雄姿を振り返ってみたい(初代を除き年号は日本での発売年)。
初代(1976年=本国)
正規導入されなかった日本では幻の初代。フランクフルトショーに参考出品後、熱烈なマニアの声に応え、当初5000台の計画だったものが、最終的に46万台以上の生産台数を記録した。1.6リットルエンジンで110ps、最高速は181km/hと、高性能車と互して走る性能を発揮。赤いフロントグリルの縁取り、黒のVWサイン、フェンダーアーチモールなどは憧れのシンボルだった。
2代目(1985年)
2代目からは晴れて日本市場への導入を開始。まず1.8リットル/105ps(DIN)エンジン搭載の2ドア・左ハンドル・5速MTが導入された後、87年になると125psのDOHC・16バルブが登場。さらに4ドアの設定、4灯グリル化(88年)、大型バンパーの採用(90年)などの変遷を経ている。
3代目(1993年)
この世代のゴルフではユニークなV型直列6気筒2.8リットルの「VR6」が登場しているが、その中でGTIは145ps(ネット)/18.3kgmの性能を発揮する2リットルのDOHC・16バルブを搭載。片側車輪の空転を抑えて走行安定性を確保するEDSなども採用している。装備ではレカロスポーツシート、ダークテールレンズなどが標準。
4代目(1998年)
搭載エンジンが再び1.8リットルに。ただしそれは5バルブ仕様でインタークーラーターボが付き、150ps/21.4kgmの性能を発揮した。当初は5速MTのみだったが、99年になると4速AT車が追加設定となった。さらに01年にはティプトロニック付きの5速ATへと進化させていた。16インチのBBSホイール(盗難防止用ボルト付き)などを装着するも、リヤゲートのGTIのバッジを除き控えめな外観だった。
5代目(2005年)
5世代目GTIの日本市場への投入は2005年のことだった。搭載エンジンは2リットルのTFSIで200ps/28.6kgmの性能を発揮。6速MTのほかに、新たな2ペダル車として6速DSGを設定。追ってパドルシフト付きに仕様変更された。さらに06年には230psの「エディション30」を設定。08年には同スペックの「ピレリ」が発売された。外観ではハニカムパターンを使ったワッペングリルが専用で採用された。
6代目(2009年)
6代目ゴルフに搭載されたのは2リットルのTSIエンジンで、211ps/28.6kgm(いずれもネット値)を発揮。トランスミッションは、シフトチェンジが0.03~0.04秒というデュアルクラッチ方式の6速DSGのみが用意された。
そのほかにアダプティブシャシーコントロールのDCC、電子制御式ディファレンシャルロックXDSをオプション設定。235ps/30.6kgmに性能を高めた「エディション35」も350台限定で発売。
7代目(2013年)
新開発されたモジュールの「MQB」の採用で軽量化を実現。搭載エンジンはBLUEMOTION TECHNOLOGYの採用で15.9km/リットルの低い燃費も実現した。エンジンは吸排気バルブに可変タイミング機構を採り入れるなどし、220ps/35.7kgmの性能を発揮。プログレッシブステアリング、XDS、DCCなども設定された。265psに性能が高められたClubsport Track Edition(全国限定400台)などもリリースされている。