日刊自動車新聞社が9月5日、A PITオートバックス東雲で「用品大賞2021」受賞製品を展示した即売イベントを開催した。用品大賞は、メーカーから販売店、整備工場やカー用品店、損保まで幅広い自動車業界人が購読する業界紙「日刊自動車新聞」が毎年実施しているアワードで、今年で34回目。今年は2020年4月~21年6月に発表・発売したカー用品を対象に、販売数量や商品開発のアイデア、話題性、社会状況、カー用品販売店や自動車整備専門学校の学生へのアンケート調査などを踏まえて評価し、18部門と特別賞の合計24社を選出。エンドユーザーに向けての発信として初めての試みとなった今回の即売イベントには、受賞者のうち16社が出展した。◆外観の美観維持を助ける多彩なアイテムコロナ禍以降のニューノーマルを踏まえ、販売が急増した製品なども選出された今年の用品大賞。巣ごもり需要や、自動車保有の一層の長期化が1つのトレンドとなりつつある中、洗車をはじめ美装に関わるアイテムが選ばれた。コロナ禍、「生産が追いつかない」程に売れたというのが、ソフト99コーポレーションの「Gジェッター」(洗車・コーティング部門)だ。水形と水流を無段階調整できる洗車仕様に特化した散水ノズルで、その高い使い勝手はもとより頑丈なつくりも特徴。一般的な散水ノズルは、日常的に紫外線による劣化の進行や、落とした際の衝撃で破損してしまうことも起こりうるが、Gジェッターは樹脂とゴム素材を組み合わせて耐久性を向上。一般的な散水ノズルよりも高価だが、長期間使えることを考えると、快適な洗車ライフを長く続けたいオーナー程お得に使えそうだ。ユーザー自身が扱える手軽な製品の一方、ディテイリング部門ではスプレー式ペイントプロテクションフィルム(PPF)「fenix Scratch Guard(フェニックス・スクラッチガード)」が選出された。プロが扱う製品の中でも、通常のコーティングやPPFと異なり、塗装ブースで施工される本格的な高級サービス。ただ、愛車に費やすカーケア費用が一部で高騰しているのもコロナ禍のトレンドの1つで、フェラーリやロールスロイスなどの正規ディーラーなども通じ、「予算をふんだんにかけても愛車をしっかりと保護したい」というニーズに応えるサービスとして徐々に広がりつつある。また、美観の維持はオーナーが気持ち良いだけでなく、視認性の確保という観点から安全性の向上にも繋がるといわれるが、PIAAの「ヘッド&テールライト融雪ヒーター」(安全サポート部門)はまさにそれを体現したアイテムだ。同製品は、ライト表面に貼り付けたフィルム式のヒーターを通じて加熱し、融雪。アクセサリー電源または車幅灯に結線するシンプルな電源配線で、センサーにより外気温5度以下で自動作動する省動力性や、取り付けた状態で洗車も可能な耐久性も兼ね備える。降雪地域では、前後ライトの灯りが雪で遮られることで前方の視界不良や後方からの追突リスクに繋がるが、発熱量の少ないLEDランプの台頭を背景に、特に追突リスクを恐れて同製品を求めるニーズが高まっているそうだ。◆より便利で美しい車内空間へ用品大賞では、クルマの外装だけでなく車内空間を便利に彩るアイテムも。今回、用品大賞のグランプリを受賞したのがパイオニアの車載用Wi-Fiルーター「DCT-WR100D」。ドコモが提供する車内向けインターネット接続サービスの高速LETデータ通信を定額で利用でき、スマートフォンなど最大5台まで接続できる。シガーソケットから給電するため、レンタカーやカーシェアなどの車両でも使用可能だ。高速かつ通信容量が無制限なため、大容量の映像でもストリーミングで気兼ねなく視聴できる。テレワーク需要の拡大やサブスクリプション型動画配信サービスの普及など、公私ともにインターネット接続の比重が高まる中、「ユーザーニーズにマッチした製品」としてカー用品店からも高く評価された。また、高級車を中心に純正採用が広がるデジタルミラーと、今では定番カー用品と化したドラレコを組み合わせた「ドラレコ機能付きデジタルインナーミラー」も注目の一品。安全サポート部門賞受賞のセルスター工業「DM-10/CS-1000SM」(安全サポート部門)は、リアカメラの映像をミラー内の9.35インチ液晶に表示することで、夜間や荷物積載時でもクリアな後方視界を確保。同時に液晶表示以外の範囲も含めて録画対応でき、専用オプションのフロントカメラとの接続も可能となっている。カー用品に起こりがちな“後付け感”を抑え、スッキリした内装のまま高い機能を装着できるため、美装の専門であるディテイリングショップでも、こうしたドラレコ付きインナーミラーの問い合わせが増えているそうだ。イベント当日、カー用品を買い求めに来たクルマ好きや近隣の一般カーオーナーらの食指を動かした、アイデア性に富んだ多彩なカー用品。クルマの使い方が一層多様化している中、クルマは買い替えずとも新たな使い方・楽しみ方を体験できるカー用品を改めて探してみてはいかがだろうか。
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