愛犬連れの夏のドライブ旅行。その注意点として、まずわが家が提唱したいのは、できるだけ避けたほうがよい…ということである。1年中毛皮を着ていて、発汗は足の裏でしかできない体温調節が苦手な犬にとって、夏の暑さ、そして湿気は大敵。熱中症になれば、最悪、命を落とすケースもありうるのだから、怖い。しかしながら、帰省、せっかく予約が取れた夏休みの家族旅行などで、どうしても出かけなければならない事情もあるはず。わが家は基本的に、これまでの“痛い”経験(真夏の山中湖旅行で、愛犬が想定外の暑さのため体調を崩し、帰路の途中の動物病院で診断。膵炎と診断され入院。治療費は約15万円)から、真夏の愛犬連れドライブはなるべく避けているが、それでもドッグライフプロデューサーとしての犬連れ仕事や、新規オープンの愛犬同伴専門リゾートホテルなどの取材・撮影で、出掛けざるを得ないこともあったりする。そこで、これまで約25年、愛犬と暮らしドライブ旅行を楽しんだ経験から考え出したのが、わが家流の夏の愛犬連れドライブの快適・安全なノウハウである。◆愛犬はクルマのどこに乗せる?まずは移動について。夏の愛犬連れドライブは基本的に涼しい高地、避暑地と決めているが、出発は早朝、気温の上がる前が理想的だ。逆に、帰路は陽が落ちてから。直射日光による車内の温度上昇が抑えられる時間帯ということだ。愛犬のクルマの乗せ場所も重要だ。ステーションワゴンやSUVでは、ラゲッジスペースに犬を乗せることもできるのだが、エアコンの風が届きにくく、前後席でちょうどいい空調環境でも、ラゲッジルームは想像以上に暑いこともあるから要注意である。わが家の場合、犬はエアコン吹き出し口のある後席に乗せるようにしているが、後席サイドウィンドウに、ミニバンやプチバンにあるリヤサイドウィンドウのロールブラインドがあれば、車内温度の上昇が抑えられ、なおよい。残念ながら、わが家のステーションワゴンのリヤサイドウィンドウにロールブラインドは付いていないのだが、マグネットや吸盤で張り付けられる、視界を遮らないメッシュカーテン、シェードを使うようにしている。 ◆車内温度の管理も重要また、念には念を入れて、ということで、後席部分に車内温度計のセンサーを配置。それで分かったのは、エアコンを使い、25度にセットし、前席部分が快適温度であっても、後席は30度以上になることもあるということ。そこで、愛犬ファーストを徹底したい夏のドライブ旅行では、犬の快適温度、22度を目安に、犬の居場所の室内温度管理をしている。が、そうなると前席の室内温度はけっこう寒く(涼しく)なるわけだが、そこは、くどいようだが愛犬ファーストで、寒がりの飼い主は上着を1枚羽織るなどして、愛犬にとって快適な車内温度に設定してあげるべきだろう。乗車人数によって、どうしても大型犬をワゴンやSUVのラゲッジルームに乗せざるを得ない場合は、後席の片側を倒すか、4:2:4分割の後席の中央部分をアームレスト代わりに倒し、エアコンの冷風がラゲッジ部分に流れ、届く隙間を作ってあげたい(愛犬の様子も確認しやすくなる)。もし、後席にペットシートマットを敷くのであれば、エアコンの風通しに配慮された、前部にメッシュ窓のあるタイプを選びたい。 ◆移動時は肉球やけどに注意!長距離のドライブでは、途中、休憩(愛犬の散歩、排泄)のために高速道路のSA/PA、道の駅などに立ち寄る必要がある。ただ、早朝に出発したとしても、そのころには陽が上り、路面温度が急上昇している可能性ありだ(肉球やけどに注意)。そこで、高速道路のSA/PAなどでは、犬がお散歩しやすい、路面温度が上がりにくい緑地になるべく使いところにクルマを止めるようにして、アスファルト路面を歩かせる距離を極力短くしてあげたい。もちろん、水分補給も忘れずに。小中型犬なら、高速道路のSA/PAだけでなく、アスファルト路面の移動は、抱っこ、またはカートに乗せてあげるといいだろう。冒頭で、夏の愛犬連れドライブ旅行では、まだ涼しい早朝に出発するのが望ましいと書いたが、目的地に着いた頃には、晴れていれば、避暑地であってもそれなりの暑さになっているはず(避暑地でもこのところ、気温上昇気味だ)。ホテルのチェックインは基本的に午後3時だから、それまでの間の暑さ対策も不可欠。観光をするなら日陰のある涼しい場所や水遊びができるスポットをあえて選び、それでも暑さに我慢できないようなケースに備え、エアコンの効いた店内に入れる飲食店などを調べておくことも重要だろう(わが家では、あらかじめ予約しておくことが多い)。 ◆水分補給や体を冷やすアイテムも常備夏の愛犬連れドライブに必要なアイテムの用意も必要だ。わが家では車内で、いつでも水が飲めるように、ペット水筒や、車内の揺れでも水がこぼれにくい水飲み皿を、愛犬の居場所に置いている。さらに、クール機能のあるドッグウエア、クールネックも、犬の体温上昇を抑えるのに効果的。万一、熱中症気味になったときに備え、クーラーボックスに保冷剤を入れ、水や冷たいおしぼり(犬の体にあて、冷やしてあげられる)も常備している。最後になるが、海へのレジャー、ドライブ旅行は、毛皮着用、ビーチサンダルを履けない犬にとっては暑さ地獄でしかない。海で愛犬を遊ばせたければ、冬から春、秋の終わりが適切だ。砂浜を人間が素足で熱さを感じずに歩ける気温、路面温度のときに限る(夏なら夕方以降)、ということだ。それでは、今年の夏も、快適、安全な愛犬とのドライブ旅行を、十分な対策の元で楽しんでほしい。