ポルシェ(Porsche)は6月18日、車内で革新的な音楽体験を可能にするアプリ「サウンドトラックマイライフ」のプロトタイプを開発した、と発表した。サウンドトラックマイライフは、ポルシェのドライバーに革新的な音楽体験を届けることを狙う。運転スタイルに合わせたアダプティブサウンドとなり、ステアリングホイールを握っているドライバーの気分に最適な音楽を作り出すという。例えば、SUVの『マカン』が米国ロサンゼルスの信号待ちで停車中、信号が緑色に変わると、マカンに合うサウンドが車内で再生される。左折後、空いた道路をマカンは加速し、次の赤信号でブレーキをかけるまで、空想科学小説の映画で帝国軍が行進しているような音楽が届けられる。ポルシェによると、マカンがその動きによって、この音楽を生み出しているという。◆車両の動きに合わせて音楽が生み出されるドライバーはまず、基本的な音楽ムードとして、特定の走行状態のために開発されたサウンドトラックを選択する。ソフトウェアは事前にプログラムされた音楽にアクセスし、加速度に応じて音楽の再生速度を調整する。サウンドトラックマイライフのテクノロジーパートナーには、米国ロサンゼルスを拠点に活動するドイツの映画音楽作曲家、ボリス・サルコウ氏を起用した。現在、サルコウ氏はサウンドトラックマイライフの開発の責任者の1人となっている。サウンドトラックマイライフで重要なのは、すべての場所で同じ音を組み合わせるのではなく、オフィスへの毎日の通勤時などに、スピーカーから出る音を毎回変えることだ。ドライバーにとっては、まったく同じサウンドはなく、毎回新しいエキサイティングなサウンドトラックを体験できるという。◆「PCM」への車載化とスマホアプリの両方が可能現在、サウンドトラックマイライフのプロトタイプは、スマートフォン向けアプリが存在する。アプリの正式バージョンが、「ポルシェ・コミュニケーション・マネージメントシステム(PCM)」に組み込まれるかどうか、まだ決定されていないが、ポルシェによると、車載化とスマホアプリの両方が可能という。サウンドトラックマイライフは将来的に、アプリをジオフェンスと組み合わせたり、特定の場所をロックまたはロック解除したりすることも可能。たとえば、特別なサウンドトラックは、ロサンゼルスやアルピーヌ峠だけで利用できるという。サウンドトラックマイライフの正式バージョンのリリースは、現時点では計画されていない。しかし、コアとなるアルゴリズムは準備が整っており、現在はアーティストとの協力の実現が重視されているという。ポルシェはアーティストと協力して、走行状態や風景に適したサウンドトラックを制作する方針。たとえば、田舎道、夜間、都市などのシーンに合う音楽が挙げられる。人工知能(AI)の活用は、人とその創造性に焦点を当てるために、意図的に避けているという。◆クラウドでのリアルタイムのサウンド開発とオンラインでの音楽の共有も視野にテクノロジーが進化するにつれて、サウンドトラックマイライフは将来、ドライバーの気分を検出し、それに合わせて音楽を調整することも想定している。クラウドでのリアルタイムのサウンド開発と、オンラインでの音楽の共有も視野に入れている。ポルシェデジタルのプロダクトオーナーで、サウンドトラックマイライフの開発を統括するノーマン・フリーデンバーガー氏は、「この新しいテクノロジーは、パーソナライズされたプレイリストを再生したり、既存の音楽のテンポとピッチを車の速度に合わせて調整したりするものではない。ドライブ中のさまざまな音などから、ひとりひとりのサウンド体験を作り出す。これは、リアルタイムで作られ、ドライバーごとに異なる音になる」と語っている。
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