似たもの同士シリーズ。今回はコンパクト系のモデルを集めてみた。スポーティ系、実用系のいずれも独特の個性が光るモデルたち。◆ホンダCR−X/フォード・レーザー3ドアハッチバック/シトロエンC4クーペ写真のカタログは『CR−X』の2代目で1987年の登場。『バラードスポーツCR−X』として登場した初代のスタイルをより洗練された印象に仕立てたモデルで、初代が打ち出した“FFライトウエイトスポーツ”の世界観をスタイルと走りで引き継いだ。で、1969年のアルファロメオ『ジュニアZ(ザガート)』が採用した、この後方まで高く伸びたルーフラインとリヤを裁ち落とした形状(コーダトロンカと呼ぶ)を『CR−X』の次に採用したのが、1994年に登場した8代目『ファミリア』のクーペ版だった『ファミリア・ネオ』とその兄弟車だった日本フォードの『レーザー3ドアハッチバック』。両車は前後ライト回りのデザインそれぞれ専用に仕立てられたが、2代目『CR−X』同様に、後方視界を確保するためのバーチカルウインドゥを設けていた。さらに同様のウインドゥとルーフラインを持ち、日本市場にも2005年に登場したのがシトロエンの初代『C4』に設定されたクーペ。当初にはMT車も用意され、エレガントな4ドアに対しスポーティな性格が与えられた。◆プジョー205/マツダ・ファミリア3ドア登場の順序でいえば、もちろんプジョー『205』のほうが早い。日本に最初に導入されたのは1986年で、WRCなどで活躍した「ターボ16」や高性能版の「GTI」の存在もあり、その後の小気味よくスポーティなプジョーのイメージを打ち立てたモデルとなった。スタイリングはプジョーとピニンファリーナの合作とされ、3ドアの直角2等辺三角形を立てたようなCピラー形状はスタイリング上の特徴のひとつだった。一方で1989年に登場したのが通算7代目の『ファミリア』。“新ファミリア系列”を謳い文句に、この世代ではユニークな4ドアクーペの「アスティナ」が印象的だったが、当初から1.6リットルのDOHCエンジン搭載のGTをフラッグシップに設定したのが3ドアハッチバック。このモデルの、リヤクォーターウインドを少し短くまとめ、シッカリと構えたCピラーまわりの雰囲気が『205』を思わせた。◆トヨタ・スターレット/アルファロメオ・アルファスッドスプリント『スターレット』と言ってもここで取り上げるのはFRで走りのマニアからも一目置かれた“KP”ではなく、その前の初代。デビューは1973年で『パブリカ・スターレット』として登場。前身の『パブリカ』(2代目)同様、兄弟車はダイハツの『コンソルテ』が用意された。そして4ドアセダンと2ドアのクーペがあり、とくにクーペの何とも垢抜けたスタイリングは、当時としても小さいながらも存在感を放つトヨタ車だった。『アルファスッド・スプリント』は1971年に登場したハッチバックセダンの『アルファスッド』のクーペ版として登場。FF、水平対向エンジンなど“スッド”のメカニズムをベースにG・ジウジアーロが仕立てたスタイリッシュなハッチバッククーペ(ただし後席は非可倒式、リヤクォーターウインドは後部を支点に僅かに開けられた)。写真のカタログは初期型のものだが、赤いクルマ同士で見較べると、全体のフォルムとやや太めのBピラーまわりなど『スターレット』に通じる。ちなみにものの本には、『スターレット』の開発初期にG・ジウジアーロが関わっていたとする記述もある。◆ダイハツ・シャレード/ルノー・ルーテシアダイハツ『シャレード』の初代は、1977年に“5m2(ヘーベー)カー”としてコンパクトな実用車として登場した。写真のカタログのモデルはその10年後、1987年に登場した3代目。“さ、ツーサム。”のキャッチコピーで、コンセプトを一新した2人のためのクルマとし、推しは3ドアだった。が、実用前提の5ドアもラインアップし、カタログの年式ではガソリン車と同じ1リットルのディーゼル車も設定している。“シュペール・サンク”の後継車として登場したのが『クリオ』で、日本市場では『ルーテシア』としてフランス・モーターズ(ヤナセ)により導入が開始された。写真のカタログのモデルがその初代だが、ご覧の通り、我々の目には「おや!?」と映ったもの。フロントの部リスターフェンダーを始め、5ドアのリヤクォーター回りの雰囲気が“シャレードっぽい”と思わせられたからだった。この5ドアには、先代同様に革内装の“バカラ”も用意された。