あいおいニッセイ同和損害保険は12月7日、2016年9月から試験運用を行っているスマートフォンを活用したリアルタイム損害調査「視界共有システム」のデモンストレーションを報道陣に公開した。事故車両の損害調査は、物損事故調査員(アジャスター)が修理工場などに出向き損害を直接確認する立会調査と、修理工場からインターネットを通じて伝送さられてきた静止画像をアジャスターが損傷状況などを確認する画像調査の2つの方法で主に行われている。立会調査はアジャスターが現車を実際に確認できることで、その場で修理方法の指示や見積額の算出ができる一方で、移動が伴う分、アジャスターが1日に対応できる件数が限られるデメリットがある。一方の画像調査は立会調査よりも多くの件数を対応できるものの、修理工場にとって撮影や画像伝送の手間がかかる上、アジャスターが必要とする画像を再び撮影し直すといったケースもある。スマートフォンを活用する視界共有システムは、修理工場とアジャスターがリアルタイムでやりとりすることで、事故車両の損傷状況の確認や修理額の見積もりを遠隔操作で行えるというもの。あいおいニッセイ同和損害保険の自動車事故調査を行っている、あいおいニッセイ同和損害調査で業務企画グループのグループ長を務める小島雄一氏は「視界共有システムは立会調査と画像調査のちょうど良い所の間を取った形になる」と解説する。というのも「スマホで撮影した映像をアジャスターが直接見ることができるうえ、音声を通じて必要な映像をとることができる。立会い出向く時間もいらない」からだ。しかもスマホから送られてくる映像は高画質圧縮伝送することで「鮮明なデータを安定してみることができ、錆の色の違いや、クルマの傷から入力方向の確認なども可能になる」という。視界共有システムは現在、全国に14か所あるコントロールセンターと自動車整備業者やディーラーなど各2~3か所ずつ結んで、トライアル運用が行われている。小島氏は視界共有システムを2018年度から損害調査の実務で本格稼働するとの見通しを示した上で、「視界共有システムを自社のアジャスターの育成にも活用している。現場に出向いたアジャスターに対し視界共有システムを通じて管理者が画像の撮り方や損傷の見方などを指示するといったトライアルも行っている」ことも明らかにした。
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