愛車のオーディオシステムをグレードアップさせたいと思っても、「カーオーディオは分かりにくい…」と二の足を踏んでいる方も少なくないようだ。そんな方々に、少しでも不安を解消していただくべく、特別企画をお贈りしている。第2回目となる今回は、「費用」についての“分かりにくさ”の解決を目指していく。■“取り付け”に何が必要となるのかを理解できると、“分かりにくさ”を解消できる…。早速本題に入りたい。「費用」について分かりにくいと感じてしまうその理由は、「製品代だけでは予算が確定しないから」である。モノの値段だけで予算が量れるものと比べたら、「分かりにくさ」があることは否めない。しかしながら、製品代以外、すなわち「取り付け」において、具体的に「何に費用がかかるのか」をイメージできるようになると、費用についての「分かりにくさ」も軽減されるのではないだろうか。というわけで今回は、「取り付け」において何が必要なのか、どのような作業が行われるのかを、多角的に解説していこうと思う。まずは、「取り付けには取り付け部材が必要となる」、ということから掘り下げていく。最初に、スピーカー交換を例に取って考えてみよう。スピーカーを取り付けるときには、第1に、“インナーバッフル”が必要となる。当部材は、スピーカーを取り付けるための“スペーサー”であり、スピーカーの性能を引き出すための“音響パーツ”でもある。“スペーサー”が必要となる理由は以下のとおりだ。純正スピーカーは大概、スピーカーユニットと取り付けスペーサーが一体化している。であるので、純正スピーカーを取り外すと、取り付けスペーサーも同時に取り払われることとなる。なので、“取り付けスペーサー”の役目を果たす“インナーバッフル”が必要となるのだ。もう一歩、踏み込んで解説しよう。スピーカーには、ネジをかませるためのネジ穴が開けられているが、ドアの鉄板に開けられているネジ穴とスピーカーのそれとがジャストで合うことはまれだ。しかし“インナーバッフル”を使うと…。純正スピーカーが固定されていたネジ穴を利用してまずは“インナーバッフル”を取り付ける。その上で、スピーカーのネジ穴を使って“インナーバッフル”にネジを打ち込む。このように“インナーバッフル”を介せば、「ドアのネジ穴とスピーカーのネジ穴の位置が合わない」という問題をクリアできるのだ。■せっかく良いスピーカーに交換するのなら、性能を引き出すために“ケーブル”も換えたい…。そして、スピーカーを取り付ける際に“音響パーツ”たる“インナバッフル”が必要となる理由は以下のとおりだ。もしもスピーカーをドアの鉄板に直付けしてしまうと、スピーカーから発せられる振動がダイレクトにドアに伝わることとなる。しかし“インナーバッフル”を挟めば、振動が伝わることを抑制できるので、鉄板の共振を軽減可能だ。さらにはスピーカーの足場が強固になるので、スピーカーが効率良く動けるようになる。つまり、ロスなく音を発せられるようになるのだ。このように、“インナーバッフル”は、“音響パーツ”としての役割も果たすのである。ちなみに多くの「カーオーディオ・プロショップ」では、“インナーバッフル”をワンオフする。車種と取り付けるスピーカーそれぞれのタイプを勘案して、“取り付けスペーサー”としても、“音響パーツ”としてもベストなものを、都度、作り上げる。なお、予算を抑えるための作戦として、既製品の“インナーバッフル”を使う、という手もある。このあたりについては、スピーカーの取り付けを依頼する時点で、ショップとじっくりと相談しよう。スピーカーを取り付ける際に必要な部材は、まだ他にも存在している。次に必要性が高い部材と言えば、“ケーブル”だ。トレードインタイプのスピーカーを簡単に取り付けようとする場合には、純正のケーブルをそのまま使う、という選択肢が取られることもある。しかし、純正ケーブルは必要最低限の役割を果たせるが、音質性能はあまり期待できない。廉価なタイプであったとしても、市販ケーブルのほうが音には有利だ。せっかく良いスピーカーに交換するのだから、“ケーブル”も換えたほうが音に対しての満足度が上がることは確かだ。できることならば“スピーカーケーブル”も交換すべきなのだ。■さらには、“手間”もかかってくる。それについての予算の計上もお忘れなく。スピーカー交換をする場合にはさらに、なんらかの“デッドニング”作業も行いたいところだ。ドア内部はそもそもオーディオ機器として設計されているわけではないので、共振も起こしやすく音響的なコンディションはあまりよろしくない。さらにはスピーカーの裏側から発せられる音を“封じ込める”のも苦手だ。なので、ライトな仕様にとどめるにしても、なんらかの“デッドニング”は行ったほうがベターだ。そして、“デッドニング”を行うときにも、“部材”が必要となる。その他のカーオーディオ機器の場合でも“取り付け部材”はなんらか必要となる。パワーアンプを導入する際には、メインユニット等とアンプを結ぶ“ラインケーブル”が新たに必要となるし、電源ケーブルも新たに必要だ。サブウーファーを取り付ける際には“サブウーファーボックス”が必要となり、もちろん、“ケーブル類”も用意しなくては音を出せない。そして“部材”以外で必要となるのが、“手間”だ。取り付けにどのくらいの時間がかかかるかで、取り付け費用は変わってくる。どのような“手間”が存在しているかというと、まずは、“バラシ”作業。内張りパネル等を取り外す作業が多かれ少なかれ必要となる。部位によっては、“バラシ”だけでも結構な作業になることもある。ナビ交換であれば、センタークラスターパネルを外すだけで良いが、フロアの防振(静粛化)の場合には、シートを外す必要が出てきたり、ルーフの“デッドニング”作業でも、天井のパネルを外す作業はなかなかに難易度が高い車種も多い。“バラシ”作業は場所によっては、結構大きな手間となる場合がある。そして、アンプラックの製作等々、“作り物”が必要となると、“部材代”と“手間”の両面で費用が増えていく。“作り物”が必要ならば、「必要な製品がもう1つ増える」というようなイメージを持っておいたほうがいいだろう。最後に、注意点をもう1つご紹介しておきたい。何らかのカーオーディオ製品を導入する際には、成約した時点で製品の売買が成立するわけなので、その時点である程度の“支払い”の必要性が発生する。ローンを組むのも成約時となるケースが多い。完成はまだ先であったとしても、成約時にいくらかは納めなくてはならない(金額についてはケースバイケース)。そして、返金を伴うキャンセルも、特別な事情がある場合を除き難しいと思うべきだろう。契約をすませれば製品の仕入が発生し、仕入れ代金はお店がまずは負担する。そして作業のスケジュール確保も行われる。宿泊施設でも当日キャンセルは100%請求される。理屈はそれと同様だ。さて、カーオーディオ製品を導入しようとする際には、製品代以外にも予算が必要であることをご理解いただけただろうか。今回ご紹介したことを頭に入れておけば、見積もりを取ったときに疑問が生じることも減るはずだ。ご参考にしていただきたい。次回からはいよいよ、“始め方が分かりにくい”という疑問に対しての解説を進めていく。お楽しみに。
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