トヨタ自動車は4月12日、東京本社で脳卒中などで足が不自由になった患者が歩行訓練をするためのリハビリテーション支援ロボットを披露し、9月からレンタルを開始すると発表した。「ウェルウォークWW-1000」と名付けられたそれは、歩行ベルトやモーターがついたロボット脚、モニターなどがセットになったロボットシステムで、膝の曲げ伸ばしを補助しながら動くベルトの上を歩き、前方のモニターで姿勢を確認しながら歩く練習をするというものだ。その特徴は運動学習理論に基づく支援で、「うまく補助し、補助しすぎない」ところにあるという。例えば、ほとんど歩くことができない患者に対しては最大のアシスト、十分に歩けるようになった患者には最小のアシストいう具合に、アシストは調整可能で患者の歩く力を最大限に引き出せるとのことだ。しかも、前方のモニターで姿勢を確認しながら歩けるので、患者が自分で気づいたことも直せる。また、正確に歩いた時とそうではない時を音でその都度知らせてくれる。その結果、歩けるようになるまで通常3カ月要するところが、このロボットシステムを使うと1.6倍のスピードで歩けるようになるそうだ。レンタル料金は初期費用が100万円で、月額35万円。すでに全国23の医療施設に研究目的で導入されており、300人を超える患者が利用している。「すべての人が移動を楽しんでもらうには、こういった役割のものが将来かならず必要になる。今は事業ありきではないが、必ず事業に結びつくものだと考えてやっていきたい」と磯部利行常務役員は話す。とりあえず国内で3年程度をかけて100台のレンタルを目指し、その後日本人と体格が似ているアジアなど海外での展開も図っていく計画だ。実は豊田家には家訓のようなものがある。それは、世の中のために産業を興して国を豊にするという「一代一業」だ。初代の佐吉氏は自動織機を、二代目の喜一郎氏は自動車を、三代目の章一郎氏は住宅を始めた。そして、四代目の章男氏はとなるのだが、このパートナーロボットは世の中のためにもなるし、一代一業としてはうってつけの事業と言っていいだろう。しかも、ロボット市場はこれから大きく発展していく見込みだ。トヨタでは、この歩行練習アシストを手始めに、対話ロボット、立ち乗りパーソナルモビリティ、バランス練習アシスト、生活支援ロボット、移動ケアロボットなどを順次実用化していく計画だ。これからトヨタのロボット事業には目が離せなくなりそうだ。
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