スマートエネルギー分野に関するあらゆる技術・製品・システムが一同に出展され、世界31カ国から1,570社が参加した「スマートエネルギーWeek2017」が3月1日(水)~3日(金)の3日間にわたって東京ビッグサイトで開催された。スマートエネルギーWeek2017は、「水素・燃料電池展」、「太陽電池展」、「二次電池展」など、8つのテーマの展示会で構成される。最新技術や製品の展示はもちろんのことだが、技術相談や商談の場となっているのが大きな特徴だ。展示会と同時に、業界関係者による基調講演や出展者によるセミナーも数多く開催され、期間中は多くの業界関係者で賑わった。中でも編集部が注目したのは、燃料電池車や電気自動車に関わる技術。インフラ整備が進んでいないといわれる燃料電池車だが、水素ステーションの展示は思いのほか出展も多く賑わいを見せていたのが印象的だった。水素のトップサプライヤーの「岩谷産業」や、「日立オートモーティブシステムズメジャメント」、「タツノ」といった計量機メーカーの水素スタンドの展示や、トラック特装大手「北村製作所」の移動式水素ステーションは、水素インフラの拡大を期待させるものだった。また、自動車メーカー「ホンダ」の提案する水素ステーションは特に目を引いた。スマート水素ステーションと名付けられ、ホンダ独自の高圧水電解システム「Power Creator」により、コンプレッサーを使用せず、再生可能エネルギーなどの電力から、低炭素な高圧水素ガス製造・貯蔵・充填を可能にする。スマートの名の通り、高さ、奥行きともに2メーターほど、幅も3メーター少しと非常にコンパクトだ。この装置を工場で組み立て、トラックで運び、設置、配管する。小型で設置が簡単なので、導入のための敷居が低いのがポイントだ。実際に、さいたま市や北九州市で運用されていて、2015年からは市販モデルも設置稼働しているので今後の展開が楽しみだ。電気自動車の分野に目を向けると、インフラとしては普及から次の段階に入った感があり、急速充電器の小型化や高性能化されたもの、それに付随するサービスや商品も多く出展されていた。充電器向けの課金認証システムを提供する「エネゲート」では、同社の課金システム「エコQ電」に、従来必須だった専用認証カードの発行や会員登録、それに必要だった携帯電話や、クレジットカードがなくても利用可能な交通系のICカードに対応することを発表した。これによって、今よりも気軽に充電器が利用されることが期待される。また、「DMM」や「日栄インテック」が出展していた、太陽光パネルをカーポートに搭載したシステムは、土地の有効活用や、発電容量アップなど様々なメリットが挙げられる。自動車ユーザーとしては、電気自動車で走行するための電気を、自宅のカーポートで発電できるというビジュアルにワクワクさせられた。電気自動車のある生活を、より身近なものに感じさせてくれる魅力的な展示内容だった。普段の生活ではなかなか実感できない、次世代エネルギーへのシフトチェンジ。しかし、実際の最先端技術や製品を目の当たりにすると、その変化は徐々に進んでいて、意外と身近な未来の話だと実感させる展示の内容だった。