2026年10月3日・4日の二日間にわたって、マリンメッセ福岡B館で開催された自動車業界向け展示会『オートアフターマーケット九州2026』では、塩害地域である九州の事業者に向けた最新の防錆商材が多数提案されていた。現地ブースの取材で、作業環境の安全性や施工性の向上を背景とした、防錆塗装のトレンドの変化が見えてきた。
油性と水性、2タイプの防錆剤
九州エリアの沿岸部は広大な海岸線を有し、台風の接近・上陸も多いため、車が潮風に晒されて塩害被害を受けやすい地域特性がある。愛車をサビから守り、将来的なリセールバリューを高く保つためには、サビが発生する前の新車時に車体下部への「防錆塗装」を施すことが最も効果的とされている。
重防錆用車体下部保護塗料『塩害ガード』を出品していた株式会社イチネンケミカルのブースでは、従来の油性タイプ(有機溶剤系防錆剤)に加えて、水性タイプが注目を集めていた。

同社スタッフによると、以前からラインアップされていた水性タイプだが、最近は自動車ディーラーを中心に選ばれる機会が急速に増えているという。その背景には、2026年4月から施行された労働安全衛生法の新たな化学物質規制があり、作業環境の改善や作業者の安全性を最優先に考える現場の意識が高まっていることがうかがえる。

水性でも速乾性、施工性、防錆効果あり
ウルトジャパン株式会社のブースでも、水性タイプの防錆剤『UBS クイックシールド AQUA 黒』が強く訴求されていた。同社スタッフは「自動車業界内では、油性のほうが防錆効果も施工性も高いという考えが定着しているが、速乾性、施工性、防錆効果を実現できる水性防錆剤として認知を広めたい」とコメントする。

同社の水性防錆剤の特徴である約30分の速乾性や施工性の高さを伝える実演コーナーをブース内に設置。塗布済みで乾燥したプレートに触れてみると、手へのベタつきはなく、水性防錆剤のニオイも気にならない仕上がりだった。

サビ予防だけでなく、強度アップやカスタム用途もOK
一方、RAPTOR JAPANでは、下塗材であるプライマーを活用して、防錆と外装カスタムを両立する提案を行っていた。同社の『RAPTOR 防錆エポキシプライマー』は高耐久保護コーティング剤『RAPTOR』の下塗材として特別設計された2液型の高性能プライマーで、防錆添加剤が配合されている。有機溶剤を含むため施工時は換気環境などに注意が必要だが、塗布することでサビや腐食の発生を強力に抑え、優れた塩水噴霧耐性を発揮するという。

このプライマーは、下地処理を行ったサビ面に直接塗布できるだけでなく、キズがついてサビやすいトラック荷台の防錆や補強、未塗装樹脂パーツの白化防止や強度アップ、ステップ部分の滑り止めとしても効果的だ。さらに、ボディの艶を消して無骨な質感を演出する外装カスタム用途としての需要も高く、機能性とデザイン性を兼ね備えた活用法として関心を集めていた。

潮風の影響を受けやすい九州エリアの自動車アフターマーケット事業者にとって、ニーズが高い防錆剤の最新動向を把握しておくことは極めて重要だ。カーオーナーにとっても、油性と水性の特徴の違いやプライマーを活用した手法を知っておくことは、愛車を過酷な環境から守りながら外装カスタムを行えたり、手放す際のリセールバリューを下げない選択肢として覚えておいて損はないだろう。

