近年ホームセンターのカー用品が注目されている。中でもコメリのプライベートブランドであるCRUZARD(クルザード)はユーザーからの評価も高い。そこでコメリが独自ブランドで魅力的なカー用品を生み出す秘密について同社にうかがって話を聞いてきた。
◆高機能で安価を求めたCRUZARD(クルザード)の誕生
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洗車アイテムの購入先として、かつてはカー用品店がほとんどだったが、近年はWeb販売やホームセンターの勢力が増しているのは事実だろう。中でも大手ホームセンターであるコメリのプライベートブランドであるCRUZARD(クルザード)は高機能で安価なカー用品をリリースし続け、クルマ好きの間でも話題になることが多い。そこで同社にうかがってホームセンターが販売するカー用品の強みや製品に関する思いをうかがった。
クルザードの製品を見たことのある読者ならわかると思うが、いずれの商品もかゆいところに手が届く機能的な製品がリーズナブルな価格で買える点が魅力になっている。最新トレンドも取り入れた製品ラインアップはクルマ好きのオーナーはもちろん、洗車やカーケアに詳しくないユーザー層も取り込んで盛り上がりを見せている。
そこでコメリのカー用品のキーマンである日用品・家電・カー・レジャー用品商品部の中川浩平氏に話をうかがった。4年ほど前からカー用品のバイヤーを担当するようになり、数々のヒット商品を生み出してきた人物だ。
「クルザードが注目されるきっかけになったのは“泡洗車用フォームガン”で、当時洗車アイテムの中で泡フォームガンの人気が急速に高まっていた時期でした。ただ価格が高くてホームセンターでは販売しにくい……、そこでメーカーや取引先との検討を重ねてPB商品を作ることにしました。価格は既存品の半額程度、もちろん機能はしっかり確保することも必須でした」
こうして、コメリのPB製品であるクルザードブランドは一気に認知度を上げてカー用品としては異例のセールスを生み出すことになる。その後もリアル店舗での扱いが少なかった“ホイールブラシ”を積極的に展開。それまではプロ用の洗車用品だと思われていたアイテムをラインアップすることもチャレンジだった。
「質の高い機能的なアイテムなら絶対に売れると確信していました。リサーチの中で洗車好きのユーザーが実際に使っている例も数多く見てきたことや、自分自身でも試して使えるアイテムであることを理解していたので製品化を進めました」
◆店舗から在庫が消えるほどの人気となった衝撃の商品
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そしてクルザードの知名度が決定的になるのがネコソギドライクロスの登場だった。ボディに置いて引くだけで洗車後の水分がさっと除去できる吸水性の高いクロスが洗車ユーザーの間でも話題になっていたが、そこに目を付けた中川さんが商品化を企画する。
「吸水性能の高さはもちろんなのですが、ボディに置いて引くだけで吸水する機能が新しさを感じたんです。これまでの洗車クロスには無い“楽しさ”をプラスできる商品だと感じました」
このように次々とヒット作を生み出していったクルザード。なぜコメリでは高機能でリーズナブルな商品が生み出せるのだろう。その開発の裏側を教えてもらった。
「高機能なアイテムをリーズナブルな価格で提供できるのは、コメリがカー用品のみならず、日用品、園芸、文具など多岐にわたる商品を扱っていることが背景にあります。それらのメーカーとも幅広くつながりがあるので、従来カー用品を作っていたメーカー以外にも“これを作れますか?”と話を持って行くことができます。そうすることで従来は難しかった素材使いや価格設定が可能になるケースがあるのです」
◆全国展開をしているからこそとれる戦略が
価格やクオリティでユーザーに還元できる
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そしてコメリは全国に1200店舗のネットワークを持つ、各店舗に開発したカー用品を置けるため当然ながら“数のメリット”も出てくる。販売数が見込める=結果的に価格や製品のクオリティに好影響を与えることになるのだ。これも大手ホームセンターであるコメリのPB商品ならでは有利な点になっている。
またカー用品部門で中川さんの下で働く崔善基(チェソンギ)氏ももう一人のキーマンだ。韓国出身の崔さんは韓国の洗車事情にも詳しい人物。
「韓国は日本以上にクルマの洗車にはこだわる部分もあって洗車の技術や使用するアイテムなどでも次々新しい流行が生まれているのに注目しています」
一部では日本の洗車事情の一歩先行くという韓国、そんなトレンドに対して常にアンテナを張って、いち早く取り入れているのもコメリの先を見据えた製品開発に影響している。
カー用品を担当する中川さんの洗車に対する思いも製品には大きく影響している。もともとはまったく洗車に興味が無かったという中川さん、しかしカー用品を担当するにあたって自ら洗車を実践するようになった。
「洗車をするようになると、いろいろな洗車アイテムがあって、それらを使うとクルマがすごく綺麗になることがわかり、素直に“これは楽しい!”と感じたんです。考えてみるとクルマを洗って綺麗になると楽しい、しかも家族から感謝されるんです。そんな良い趣味って他にあるでしょうか? そういった意味からも洗車は趣味の無い人にもオススメだと思います。そこそこの運動量もあるのでダイエットにもなりますしね」
CRUZARD(クルザード)ブランドは「本格的な機能で価格も手頃。ハイレベルなカーケアを誰でもいつでも手軽に出来る」とうたっている。手軽に購入できる高機能製品であるクルーザードの各アイテム、これらを使うことで洗車の楽しさを実感するユーザーがますます増殖していくはず。気になるユーザーはコメリのカー用品売り場を一度のぞいてみると良いだろう。
土田康弘|ライター
デジタル音声に関わるエンジニアを経験した後に出版社の編集者に転職。バイク雑誌や4WD雑誌の編集部で勤務。独立後はカーオーディオ、クルマ、腕時計、モノ系、インテリア、アウトドア関連などのライティングを手がけ、カーオーディオ雑誌の編集長も請負。現在もカーオーディオをはじめとしたライティング中心に活動中。