「はっきり申し上げるのは(日産の)救済ではないということ。共同持ち株会社について当初はホンダがリードすることになるが、それは株式の時価総額が今のところ、ホンダの方が高いためです」
ホンダと日産自動車が、経営統合に向けた本格的な協議に入ると正式に発表した記者会見で、ホンダの三部敏宏社長はこのように述べて、業績悪化に苦しむ「日産救済」のための統合ではないことを否定した。
しかし、まるで重篤の病人を寝ずに看病した直後のような無精ヒゲ面の三部社長の風貌からも、きょうの朝日の「ホンダ主導、難路の統合」「『日産救済』の色合い鮮明」などというタイトルがしっくりくるだろう。
その朝日と東京を除く、きょうの読売、毎日、産経、そして日経の4紙の1面トップは「ホンダ・日産26年統合へ」をメインに、サブ見出しには、「ホンダ主導」(読売)、「持ち株トップ、ホンダ指名」(毎日)。産経も同様に「持ち株会社、ホンダ主導」としている。
そして日経の1面は「三菱自は来月決断」だが、総合面の関連記事にはやはり「33兆円連合へホンダ主導、持ち株トップを指名」として「新設する持ち株会社のトップと社内外の取締役の過半をホンダが指名すると発表。ホンダは経営統合の前提として、経営不振の日産に対しリストラの徹底を求めている。売上高33兆円の世界3位グループへホンダ主導で構造改革を進める」とも伝えている。
余談だが、きのう(12月23日)午後5時からの日産・ホンダ両社の統合協議に来月末をめどに合流も検討中の三菱自動車の加藤隆雄社長も出席した共同記者会見の会場は、東京・中央区京橋にある東京スクエアガーデン内のコンベンションホール。その京橋と言えば、黎明期に資金繰りに窮したホンダが創業者の本田宗一郎氏と二人三脚で経営を支えた藤沢武夫氏が、当時の三菱銀行京橋支店の支店長から融資を取り付けて危機を乗り越えたというエピソードもある。ホンダにとっても「足を向けて寝られない」ほどの曰く因縁の場所であり、各紙が取り上げた「ホンダ主導」にも意味ありげな“演出”にも思える。
2024年12月24日付
●ホンダ・日産26年統合へ、協議基本合意、ホンダ主導、三菱自来月合流判断(読売・1面)
●トヨタ中国にEV新工場、27年頃稼動目標、単独出資外資2社目 (読売・2面)
●ヤマト運輸を損賠提訴、日本郵便、配達委託巡り (読売・9面)
●VW工場閉鎖見送る、労使、コスト削減策合意(朝日・6面)
●ゴーン前会長「補完性ない」「強みも弱みも同じ」(毎日・3面)
●JR九州日韓航路撤退、浸水隠し、船の亀裂防止困難(毎日・20面)
●川重十数億円所得隠し、海自金品提供は交際費、大阪国税局指摘(東京・3面)
●社説、ホンダ・日産は大変革に挑め (日経・2面)
●ホンダ、自社株買いに1.1兆円 (日経・17面)
●須田寛氏死去、JR東海初代社長(日経・45面)