物流業界において、物流企画関連求人や、「物流のデジタル化」に関わる求人が増加しているという。リクルートは、「物流業界の生産性向上」に関する求人と転職の動向についてまとめ、4月25日に発表した。
●物流の企画、デジタル化に関わる求人が増加
『リクルートエージェント』における求人数推移を見ると、物流企画関連の求人が2014年比で17.49倍、物流のデジタル化に関わる求人が14.76倍に増加した。これは、EC市場の拡大や、消費者ニーズの多様化による物流の小口化・多頻度化が背景にある。トラックの積載率は40%に満たない水準で推移しているという。
物流業界では、メーカーや物流企業が物流部門の強化を図り、生産性の向上をめざしている。リクルートの物流領域専任コンサルタント、吉川宗氏は「運輸・配送・倉庫などを中心に、物流業界の企業だけでなく、メーカーなどの事業主側も物流部門強化のために求人を増やしている。物流の仕組み自体を改善し、生産性を向上する狙いがある」と解説する。
こうした動きを受けて現場では、物流マッチングプラットフォームの活用や共同配送による積載率の向上、荷主側の物流プロセス変革によるドライバーの待機時間削減など、生産性向上を実現する事例が出てきている。
●異業種からの転職が多い
2024年問題による輸送能力の不足が懸念される中、物流企画関連求人への異職種からの転職者は2014年比で7.60倍となり、同職種出身者の3.71倍を上回っている。
物流件数が増加する中で、プロセス上の「品質」「コスト」「生産性」を管理する「物流企画」や「物流管理」「輸配送管理」などの物流企画関連求人が増加している。特に物流管理求人への転職では、アパレルや小売りでの経験が評価されている。これついて吉川氏は「需要予測に基づく在庫管理経験や、売上などの数値管理能力が『物流管理』の業務プロセスと親和性がある」と、理由を説明する。
●サービス乱立
物流業界のデジタル化を推進するため、IT・インターネット業界の物流テック求人や物流業界のITエンジニア求人が増加している。デジタル化の推進には、デジタルツールの現場への浸透や、ITエンジニアの採用が重要な課題だ。
ただ吉川氏は「現状は、デジタル関連サービスが乱立しており、全体最適化ができていない。今後、業界全体でのプラットフォーム最適化など、各ステークホルダーが協力してデジタル化を推進する動きが求められる」と問題点を指摘している。