2023年から2024年にかけて新車は続々登場しているものの、納期に時間がかかりがちな状況が続いている。しかし、現在乗っている愛車の車検が近い、税金が高くなる車齢間近、高騰する新車は高すぎて手が出ない、愛犬のためにドッグフレンドリーなクルマに乗り換えたい…といった希望もあるだろう。
そこで今回は、今、すぐに、安く買える、国内外の中古ドッグフレンドリーカーを紹介したい(中古車価格は200万円以下を想定/年式による)。2023年10月から「支払総額表示義務化」となり、昨年は色々と話題になった中古車も、今はより安心して買えるタイミングでもあるのだ。
◆ホンダ N-BOX:下手なコンパクトを凌ぐ走り&快適性
最初のポイントは、2023年に新型になったドッグフレンドリーカーの先代モデル。新型車への乗り換えで中古車のタマ数が増え、また、先進運転支援機能などが先代モデルとは言え、充実しているクルマたちだ。
その筆頭は2代目ホンダ『N-BOX』(現行型は3代目)。室内空間の驚くほどの広さ、両側スライドドアと多彩なシートアレンジによる愛犬の乗せやすさ、下手なコンパクトカーを凌ぐ走りの良さや快適性の高さなど、ミニマムサイズのドッグフレンドリーカーとしてこれまでも推奨してきた1台だ。そしてその後期モデルであれば、ホンダセンシング=先進運転支援機能も充実し、今買っても不満なく乗れるはずである。
最新モデルと先代モデルが並んでもパッと見区別がつきにくい(カスタム)点や、純正ドッグアクセサリーとして「Honda Dog」シリーズが用意されているところもおすすめポイントとなる。
◆スズキ スペーシア:後席の空調環境は文句なし
同じく2023年に新型となった軽自動車では、スズキ『スペーシア』がある。その先代モデルには、最新型ではまだ登場していない「スペーシア ギア」というクロスオーバー風モデルもあり、標準車、カスタム、ギアと、好みに合わせたチョイスが可能だ。N-BOX同様に室内空間は広く、両側スライドドアによって愛犬の後席への乗降性は抜群。後席を倒したときのフラット度では、最新型とともにクラスでピカイチの存在と言える。
しかも、後席スライドドア部分の窓にロールサンシェードが装備されるほか、後席天井部分にスリムサーキュレーターが用意されていて、後席エアコン吹き出し口のない軽自動車でも、愛犬の特等席である後席の空調環境は文句なし。暑い時期のドライブも愛犬が快適に乗っていられる、ということだ。
なお、新型スペーシアからスズキの純正ペットアクセサリーとして用意された、後席に設置する小型犬用の「ペットサークル」と、犬が手をかけ、汚れやキズの付きやすいドアトリムをカバーしてくれる「ドアトリムカバー」は、新旧スペーシアの室内パッケージが変わっていないことから、先代スペーシアにも使用可能だ。
◆スバル XV:街から雪山まで行けるオールラウンダー
2023年にフルモデルチェンジしたもう1台のドッグフレンドリーカーがスバル『XV』だ。最新型は世界市場と歩調を合わせ『クロストレック』と改名しているが、実は、見た目は先代モデルと大きく変わっていない。しかも、4WD車であればXモードという悪路や雪道からの脱出性能を高める機能も備わり、オールラウンダーとして1年中、活躍してくれること必至。
クロスオーバーモデルにして、車高が低いことも都市部などで使いやすい要因になる。アウトドア派、愛犬と雪道を走る機会も多い愛犬家におすめだ。ちなみに、ラゲッジフロアと開口部に段差があるものの、ラゲッジボード手前を持ち上げて、ラゲッジフロアと開口部の段差をなくす配慮もある。
◆ホンダ フリード:多頭飼いもOKな“大容量”コンパクトミニバン
次に、まだ現行型にして、モデル末期ゆえに中古車の流通量が多いおすすめのドッグフレンドリーコンパクトミニバンがホンダ『フリード』。
基本は3列シートのミニバンだが、フリード+という2列シートの大容量コンパクトワゴンと呼べるモデルもあり(フリードに比べて流通量は少ないが)、大型犬、多頭との移動から車中泊までなんなくこなしてくれる極めてドッグフレンドリーな1台だ。
◆VW ゴルフ7 ヴァリアント:愛犬の特等席が充実するステーションワゴン
最後に紹介するのは、筆者が長年乗っていた、輸入車の VW『ゴルフ』7代目のヴァリアントだ。おすすめは、2017年のビッグマイナーチェンジを行った以降のゴルフ7.5と呼ばれるモデルのハイライン。200万円以下でも手に入る価格にして、第一世代のデジタルメータークラスター(ハイラインとR-LINEにオプション、マイスターに標準装備)や充実した先進運転支援機能を搭載する。
走りの質感におけるドイツ車らしさはゴルフ8より上とさえ、“勝手に”思っているほどだ(ゆえに現在も愛車は「ゴルフ7.5ヴァリアントハイライン」の最終型、2020年型のマイスターである)。1.4リットルターボのハイラインで、高速巡航中心なら20km/リットルも可能な燃費性能の良さも魅力となるだろう。
ハッチバックのゴルフ7との違いはラゲッジスペース(後席使用時奥行1050mm、最小幅990mm、後席背後の天井高810mm、後席格納時のフロア奥行1670mm。愛犬用品の収納にも便利な左右ポケット、床下収納スペースあり)になるわけだが、大型犬、多頭の乗車も無理なく行え、もちろん、特等席の後席に乗せれば、後席エアコン吹き出し口完備で1年中、愛犬も快適に過ごせるということになる。200万円以下で手に入る、比較的新しい輸入ステーションワゴンとして間違いない選択と思える。
初めての輸入車という愛犬家なら、認定中古車を選べば、メーカー保証が1年付く(オプションでもう1年追加可能=2年のメーカー保証)から安心である。さらに、フォルクスワーゲンには、筆者がプロデュースした後席に設置する愛犬用ドッグベッド=「フラットベッド」も純正アクセサリーとして用意されている点にも注目していただきたい。
大型犬から多頭までの乗車が可能で、底部はクッションがラミネートされ、ゴルフヴァリアントにある後席エアコン吹き出し口からの風もしっかり届き、サイドフラップがあるため乗降時に後席シートサイドやサイドシルをキズ付けず、汚さない、飼い主も愛犬も便利に快適に使える仕様になっている。もちろん、ゴルフヴァリアント以外にも使用可能だ(フォルクスワーゲン『ルポ』、軽自動車など後席シート幅の狭いクルマを除く)。