テインは東京オートサロン2024に出典。そこで発表された注目の新製品が「4×4 GRAVEL2 DAMPER」だ。これまでもアウトドア系なニーズに応じたサスペンションをリリースしてきたが、今回は初となる本格的オフロード用のサスペンションとなる。
◆注目の新製品「4×4 GRAVEL2 DAMPER」を発表
単筒構造は極太シャフトと専用の新設計大径ピストンバルブを採用。大きなストロークに対応するべく、別タンク式とすることでオイル容量、ストローク量、ガス容量を十分に持たせている。車高をガッツリとアップして、本格的なオフロードで思い切り遊ぼうという狙いのサスペンションなのだ。
これまでも1インチアップなどのサスペンションはあったものの、ここまでの本格的モデルは初となる。海外でもオフロード人気は高まっていてFOXなどが大きなシェアを持つ。そこでテインでは北米やオーストラリアなどのオセアニアでのマーケットも見据えて、「4×4 GRAVEL2 DAMPER」の開発となった。
対応車種はまずはランクル300/200を予定。それから徐々に車種を増やしていく。ランクル用は2024年春には発売となる予定だ。
◆革新的なモーター車高調整システム「M.H.A.S.」
新機構として参考出品されたのが「M.H.A.S.」。これはMotorized Height Adjustment Systemの略。つまりモーターによる車高調整システムということ。これはモーターによって油圧を送ることでスプリングを支えているスプリングシート部の高さを調整し、車高を変えることができるシステム。
バイクの世界では、高価なアフターパーツのサスペンションになるとリアサスに手動でスプリングシート部の高さを調整できる機構が備わっており、つまみを回すことで車高やプリロード調整をすることができる機構が一般的。それに近い機能だが、クルマ用となると大きな車重と荷重を受け止めねばならず、なかなか実用化できなかったという。
だが今回テインではその難点を克服して開発した。エアサスペンションでも同様に車高の調整ができるが、機構が複雑になりがち。電気で動くのは同じだがエアサスの場合、コンプレッサー、エアタンク、配管、本体とかなりの部品点数が必要になるし、コンプレッサーの置き場やエアタンクの置き場になたまされることになる。
「M.H.A.S.」の場合は電源さえあれば、あとはダンパーに備わった別タンク部のモーターが動くだけなので取り付けや構成パーツもシンプル。信頼性の高さや取付工賃の節約につながる点も嬉しいところだ。発売はまだ未定だが発売に向けて急ピッチで開発を進めているという。いざ段差を超えるときのお助けパーツでありながら、将来的にはスポーツ走行時のセッティングパーツとしての活用も期待したい。
◆特殊ジャーク制御と減衰力調整で注目のチューニングパーツ
Endura Pro PLUSとEDFC5はアメリカで毎年行われている世界最大級のチューニングパーツトレードショーである「SEMA SHOW 2023」において、Global Media Awardsを受賞したパーツ。Global Media Awardsとは現地を訪れているメディア関係者の投票によって選ばれる注目のチューニングパーツに与えられる賞のこと。
EDFC5は遠隔自動減衰力調整機構である「EDFC」の最新バージョン。スピードや前後左右のGに応じて減衰力を自動制御する機構だが、最新モデルであるEDFC5ではジャーク制御が加えられた。このジャーク制御とは、簡単にいうとクルマがロールしていく最中は減衰力が高くなり、クルマの動きをしっとりと抑えるが、ロールが安定したらまた減衰力をソフトにできる制御のこと。
これまでの制御だと横Gに応じて、コーナリング中ずっとサスペンションは引き締められた状態だったが、ジャーク制御にすると曲がり始めはハードに、安定したコーナリング中はまたソフトに乗り心地を変化させることできるのだ。その特殊な制御によって、フラフラしにくく、でも乗り心地は悪くなりにくいという美味しいとこ取りが実現した。
Endura Pro PLUSは純正交換式のサスペンション。スプリングもバンプラバーも純正のまま、ダンパーだけを交換するタイプだが、その乗り心地はノーマルを上回る質感を実現。そして最大の特徴は減衰力調整が備わること。テインの車高調と同じく1WAYの16段階調整機構が備わる。ノーマルと同じ車高で、スプリングもノーマルのまま減衰力調整ができるようになる。しかも、その減衰力調整にEDFCが対応。走り方やタイヤ、乗車人数などに合わせて減衰力自動調整が可能で、ジャーク制御も付与できる。
対応車種の広さもポイントですでに1000車種ほどに対応。2030年までには国内外3000車種へ対応させる予定だという。アメリカでも注目を集めた最新機構を使った注目のパーツなのだ。
展示車両はテインの藤本吉郎専務が日本人唯一となるサファリラリーを制したトヨタ・セリカを展示。実車そのもので数千万円を掛けて当時のラリーメカニックがレストアした。通常時は富士スピードウェイミュージアムに展示されている車両が運び込まれているのだ。テインの製品情報はこちら