自動車大学校の学生たちによる斬新な発想のカスタムカーが、オートサロンの見所のひとつとして注目されつつある。12日に開幕した「東京オートサロン2024」でも学生たちによる様々な車両が展示されたが、中でも北ホールの入り口近くに置かれた一台がひときわ存在感を放っていた。埼玉自動車大学校が制作した『S-FRコンバーチブル』だ。
『S-FR』という名前、そしてこのクルマのフロントマスクを見てピンとくるクルマ好きも多いだろう。2015年の東京モーターショーでトヨタが初公開し、「ヨタハチの再来」などと言われたコンパクトFRクーペがS-FRだ。ボディサイズは全長3990mm、全幅1695mm、全高1320mm、ホイールベース2480mmで当時の『86』よりもひと回り小さい5ナンバーサイズで、翌年のオートサロンにはこれをベースとしたレース仕様も発表されファンの期待を集めた。しかし発売秒読みとも言われながらも、その後市販化されることはなかった幻のコンセプトカーだ。
これをオマージュし、「トヨタが作らないなら自分たちで作ろう」というアイデアから埼玉自動車大学校の学生たちがマツダの3代目『ロードスター』をベースに仕上げたのが今回のS-FRコンバーチブル。埼玉自動車大学校は過去、東京オートサロンのカスタムカーコンテンストで3度もの最優秀賞の受賞歴があるだけに、カスタムのアイデアと実力は折り紙付きだ。
コンセプトカーではクーペだったが、ロードスターをベースとしたことでオープンカーとなっているのが特徴だ。ちなみに3代目ロードスターのボディサイズは全長3995mm、全幅1720mm、全高1245mm、ホイールベース2330mmと、元ネタとなったS-FRにかなり近いのが車両選定の決め手になったと思われる。
S-FRの代名詞ともいえる、大口を開けたような個性的なフロントマスクを忠実に再現。バンパーは型を起こしてFRPで製作されたという。ボディサイドやリアはレーシングカーを思わせるようなオリジナルのエアロや大型リアウイングを装着。「埼自大ならではの遊び心を加えたスポーツカーにした」と説明する。原型を残しつつも「S-FRが市販車だったら」というイメージを忠実に再現したことで完成度の高いモデルに仕上がっていた。
なお、このS-FRコンバーチブル、公道走行は不可とのこと。