2023年はこんな1年だった!!…ニュースがありすぎました | CAR CARE PLUS

2023年はこんな1年だった!!…ニュースがありすぎました

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ジャパンモビリティショー2023
  • ジャパンモビリティショー2023
  • ビッグモーター(イメージ)
  • 認証の不正が明らかになった初期の車種:ダイハツ・ロッキーHEV
  • ダイハツ工業、京都(大山崎)工場
  • 日野自動車と三菱ふそうが経営統合
  • ホンダリコールの改善箇所
  • トヨタ自動車高岡工場(参考)
  • トヨタ自動車の佐藤・新社長

気候変動の影響からさまざまな自然災害や極度の温度差を体感した2023年(令和5年)も間もなく大晦日。心に染みわたる除夜の鐘の音に耳を澄ましながら邪鬼を払い、穏やかな新しい年が迎えられるように願いたいものだ。



◆地球沸騰の時代

国連のアントニオ・グテレス事務総長が「温暖化の時代は終わり、地球沸騰の時代が訪れた」と発言するなど、今夏は過去に例をみない「酷暑」に見舞われたと思ったら、年の瀬も押し迫ると日本列島は、強い寒波が流れ込み、都心の朝晩も肌寒く冷え込んで、北海道の多くの地域では氷点下20度以下、北陸など日本海側を中心に大雪が降り積る「真冬並み」の寒さが到来した。

世界的にも新型コロナの緊急事態が解除され、国内でも感染法上の分類がインフルエンザと同じ「5類」に引き下げられた。マスクの着用や「3密回避」などの行動制限も緩和されたことから、久しぶりに正月を故郷などで過ごす人たちも少なくないようだ。年末年始の休暇を利用して帰省やドライブ旅行を計画しているマイカー族にとっては、ガソリン価格の高騰も頭が痛いが、高速道路の大渋滞とともに、道路脇の崖崩れや積雪などによる交通への影響も気がかりだろう。

それはさておき今年1年を振り返ってみると、新聞・テレビやSNSにみられるように洪水のごとく情報があふれている中で、大勢の人に関心を持たれた気になるニュースとは何か。

◆読者が選んだ2023年10大ニュース

まずは、読売新聞が年末恒例の特別企画として掲載した「読者が選んだ10大ニュース」では、「海外」のトップは「ハマスがイスラエルに大規模攻撃、イスラエルが報復」で、2位が「トルコ・シリア大地震5万人超死亡」、3位は「ハワイ・マウイ島で大規模山火事」、そして4位は、昨年断トツの投票数を獲得してトップだった「ロシアのウクライナ侵攻1年、戦況はこう着」と続く。

上位30位内にはモロッコ大地震(17位)やアフガニスタン大地震(29位)も含まれており、戦火による非情な爪痕に加えて、異常な自然現象によって発生した被害の甚大さには目を覆うばかりだ。

一方、「日本」の10大ニュースのトップは「WBC (野球の国・地域別対抗戦)、日本が14年ぶり優勝」、2位は「大谷翔平、米大リーグで本塁打王」と、“二刀流”に大興奮した野球関連が1-2位を独占したほか、5位に「阪神38年ぶり日本一」、17位には「夏の甲子園で慶応107年ぶり優勝」などもランクイン。阪神・岡田監督の「アレ(A.R.E.)」もこの1年の世相を表す「新語・流行語大賞」に選ばれるなど、3年余り続いたコロナ禍がようやく区切りを迎えるとともに、スポーツや将棋の「藤井聡太竜王の史上初の八冠」(4位)などのほのぼのする明るい話題に引き寄せられた。

◆話題のつきないビッグモーター保険金不正請求疑惑

しかし、10大ニュースの中には、驚愕するような悪質極まりない “重大事件”も見逃せない。芸能界のパワハラやメディアの報道姿勢にも厳しい目が向けられた「ジャニーズ事務所の性加害問題」(3位)以外にも、大手損保会社の経営体質までも問われた中古車販売最大手の「ビッグモーター保険金不正請求疑惑」(8位)もベスト10入りした。

その保険金不正問題については、7月に大手メディアも一斉に報じてから連日のように紙面を賑わせていたが、社員がゴルフボールなどで車体を傷つけて修理代の保険金を不正に水増し請求していたほか、店舗前の街路樹を無断で伐採するなどの不適切な行為が発覚。金融庁は損害保険代理店の登録を取り消す行政処分を出すとともに、ビッグモーターと“一蓮托生”で関係が深い損害保険ジャパンなどにも立ち入り検査を実施した。

同様の不正問題は東証プライム上場のネクステージやトヨタ系販売会社でも過大請求の事実が判明した一方で、存亡の危機に瀕しているビッグモーターを大手総合商社の伊藤忠商事が救済する動きも急浮上し、相変わらず話題が尽きない。

◆ダイハツ不正行為が拡大

そしてビッグモーターの一連の不正問題とは別に、今年の自動車業界を取り巻く重大な出来事として無視できないのは、トヨタ自動車の完全子会社であるダイハツ工業での認証試験における耳を疑うほどの不正行為の拡大である。

4月に海外向けの4車種で不正が発覚したことを明らかにしたが、その後の第三者委員会の調査では12月20日には国内外の64車種で174件の新たな不正が見つかったことを発表した。しかも30年以上にわたって放置されていたことも判明し、新車の出荷停止とともに国内のすべての完成車工場での生産も停止した。工場は少なくとも年明けの1月末まで止めるそうだが、再開の時期は見通せず、約9000人の従業員と4000社を超える取引先の部品会社などは、不安を引きずりながら年を越すことになる。

もっとも、ユーザーには不正が発覚した車種について少しでも安心感を与えようと「基準は満たしており、使用を中止してもらう状況ではない」(トヨタの長田准執行役員)などと、苦し紛れに説明するが、開発現場での安全を軽視した悪質な行為を長い間見過ごしてきた企業風土や経営体制が厳しく問われているのは言うまでもない。

◆トヨタグループの「ものづくり」に危機?

それにしても、トヨタグループでは「ものづくり」に対する信頼を失墜させるような不祥事が横行しており、ガバナンス(企業統治)能力の欠如は極めて深刻だ。

2022年3月には日野自動車で大規模な排ガス規制や燃費性能をごまかす不正が発覚。その日野は、独ダイムラートラック傘下の三菱ふそうトラック・バスと経営統合で合意したというサプライズもあったが、今年に入ってからも豊田自動織機や愛知製鋼でも品質関連の不正行為が明らかになった。

また、デンソー製の燃料ポンプの不具合についても自動車メーカーの根幹を揺るがしかねない大問題だ。日野やダイハツなどの不正問題とは直接関係はないとみられるが、デンソー製の燃料ポンプを搭載し、追突死亡事故まで発生したホンダ車だけでも世界中で830万台を超える大量リコールに踏み切ったほか、トヨタも620万台を上回っており、今後もその影響が拡大する恐れもあるのが心配だ。

さらに、今年に入ってからもトヨタの国内工場ではひんぱんに生産・出荷が止まってしまうという異常事態に見舞われた。8月には、部品の発注を管理するシステムに不具合が発生し、必要な部品が確保できなかったため、グループ会社を含め完成車を生産する国内全14工場28ラインで稼働を停止。10月にも自動車用ばね部品を製造する中央発条で爆発・火災が発生し、その影響で工場再開までに延べ10日以上も停止したという。半導体不足は解消されつつあるが、度重なる突然の工場の稼働停止で、「半年、1年は当たり前」と言われる新車の納期遅れを取り戻すどころか、逆に「足を引っ張ってしまった」と言わざるを得ない。

◆社長交代

今年の自動車業界で特筆すべきもう一つの出来事は、「社長交代の当たり年」でもあったことだろう。

1月末にはトヨタ自動車が、13年余り君臨した豊田章男社長が4月1日付けで代表権のある会長に就任し、後任の社長には佐藤恒治執行役員が昇格する交代人事を発表。だが、その2週間後の2月14日には、章男氏の父親で「世界のトヨタ」を築き上げた名誉会長の豊田章一郎氏が97歳の生涯を終えて鬼籍に入られた。予期せぬ慶事と弔事が重なって、佐藤新社長にとっても複雑な気持ちで目まぐるしい船出となった。

そのトヨタを皮切りに、SUBARU(スバル)は会長に就いた中村知美社長の後任に、大崎篤専務執行役員が社長兼最高経営責任者(CEO)に昇格したほか、マツダでも毛籠勝弘専務執行役員が社長に就任し、丸本明社長は相談役に退いた。両社とも5年ぶりの社長交代で、新社長の経営手腕は未知数だが、就任早々にスバルの大崎社長は「2028年末までに8車種の電気自動車(EV)を投入し、2030年にEVの割合を50%に高める」という新たな目標を発表。マツダの毛籠社長も11年前に量産を終了していたロータリーエンジンの復活を宣言。ロータリーエンジンを発電機として使用した『MX-30ロータリーEV』も発売するなど、電動化へのシフトをアピールした。

さらに、いすゞ自動車も南真介専務執行役員が社長最高執行責任者(COO)に昇格。片山正則社長は代表権のある会長最高経営責任者(CEO)に就いたが、その片山氏は、年明けの1月から日本自動車工業会(自工会)の会長に就任する。“再登板”に異例の“続投”と長期にわたって会長職を務めてきた豊田章男氏(トヨタ自動車会長)の任期途中での退任に伴うもので、自工会の会長ポストとしてはトヨタ、ホンダ、日産自動車の3社以外では初めてのケースだ。

◆ジャパンモビリティショー2023は成功か失敗か? 次回は?

その自工会が運営する最大のイベントは、豊田会長の提案で「東京モーターショー」から名称変更した「ジャパンモビリティショー」があげられる。

この秋には「乗りたい未来を、探しに行こう!」をテーマに、4年ぶりに開催したが、主催者発表では来場者が111万人を超えて盛況だったという。皮肉にも販売不振で中国市場からの撤退を決めたばかりの三菱自動車の展示ブースと隣り合わせで、日本市場へ本格参入の中国のEVメーカーBYDが新モデルをずらりと並べて脚光を浴びていたものの、際立ったコンセプトカーも少なく、会場では物足りなさを感じてため息をつく往年のモーターファンも見受けられた。

ともあれ試行錯誤を繰り返しながら自動車業界の枠を超えた新しいカタチの“祭典”だっただけに、次回の開催日程も未定のままという。「トヨタ1強」でリードしてきた強烈なパワーがすぐに衰えるとは思えないが、新会長はどんなショーを望むのか。いすゞと言えば、トヨタや12月26日に創立90周年を迎えた日産とともに“旧御三家”と呼ばれたほど、黎明期の国内自動車産業をリードしてきた名門企業。喫緊の「物流の2024年問題」を抱えながら、新車販売や電動化戦略など、業界のどん詰り感をどのように断ち切るのか。新しいリーダーのハンドルさばきに注目したい。

《福田俊之》

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