ホビーショーの自動車関連商品は、大きくプラモデル、ラジコンカー、そしてミニカーに分類される。今年の「第61回 静岡ホビーショー」で、ミニカーには少し異変があった。
従来までの主力と言えば何と言っても43分の1サイズ。そしてより大きな18分の1や12分の1などをメインにディスプレイされていた。しかし、今年は勿論従来のメインサイズも幅を利かせていたが、今まで以上に多くなったのが64分の1サイズである。
◆ミニカーは「64分の1」がトレンドに
64分の1サイズで有名なのがタカラトミーが作る『トミカ』。最近は完全子会社であるトミーテックが作る『トミカリミテッドヴィンテージ』シリーズが人気を集める。この二つ、実は明確な違いがある。前者のトミカはいわゆる子供用おもちゃに関連する法規制を順守して作られるもの。そして後者は大人向けのディスプレイ用と言っても過言ではなく、トミカのような法規制には縛られない素材で作られているものである。
国際貿易の矢田社長にお聞きすると、大人がディスプレイして楽しむものを「モデルカー」と呼び、子供向けで法規制の元に作られているものを「トイカー」と呼ぶという。つまり一言でミニカーと言ってもこの2種には大きな隔たりがあるというわけである。
そしてこのいわゆるモデルカーに属する大人向けの64分の1サイズのモデルが、今回のホビーショーでは大きく幅を利かせていた印象がある。例えば高級ミニカーのブランドとして定評のあるBBRも64分の1サイズを投入してきたし、TSM、MNI GTなども数多くの64分の1を今回のショーに投入。特にまだ版権取得が済んでおらず、これから市場投入という原型モデルの展示が多かったことも特徴的だった。
また前出、国際貿易のブースには、言われなければ気が付かなかったが既に参考出品ながら新型のトヨタ『プリウス』が展示されているのには驚いた。
◆素材の主流は「ダイキャスト」と「レジン」で揺るがず
素材の分野はこれまでも、そして今後もダイキャストとレジンが主流であろう。どちらもメリット、デメリットがあり、ダイキャストの場合製品の長期安定的保存を可能とするが、金型にお金がかかるので長期で作り続ける必要がある。一方のレジンはより細かいディテールの再現が可能だが、長期的には製品の歪みなどが起きる可能性がある。また、ダイキャストではドアなどの開閉が可能だが、レジンではそれが難しい。
今回注目したのはエブロが参考出品したデルRSDとGRDS72の43分の1モデル。どちらも参考出品だが製作を3Dプリンターで行っていた。木谷社長によれば「まだまだこれから…」とお話しされていたが新たなポテンシャルを探る挑戦である。
◆東南アジアでも人気の「64分の1」、新たな楽しみ方も
64分の1サイズは日本的な住環境ではディスプレイしやすく、マッチしている。これはどうやら東南アジアでも同じ状況のようで、主力がこのサイズにシフトされる可能性がある。そして、トミーテックやイグニッションモデルからは64分の1のジオラマも展示され、鉄道模型のような新たな方向性も見えた。