クルマ生活にダイレクトに関わる「社会・経済」情報を幅広くフォローしている当コーナー。今回は、「自賠責保険」についての基礎知識を、最新情報を交えながらお伝えしていく。
まずは、うれしいニュースから紹介しよう。昨年末から見通しが報道されていたのだが、4月1日からの「自賠責保険」の保険料の値下げが、今月になり正式決定されている。
実を言うと「自賠責保険」の保険料は、その金額が毎年議論されている。加入が義務付けられた公共性の高い保険ゆえに、誰もが無理なく入れるように、そして契約者から集めた保険料と保険会社が払う保険金の収支に大きな差額がでないように運用されているからだ。
なお、保険料の決定までには以下のような過程を辿る。まずは損害保険各社が加盟する「損保料率算出機構」にて議論され、そのあとに金融庁の審議会が開かれて保険料が決定される。昨年末、その「損保料率算出機構」の議論により値下げの見通しが示されていた。そして審議会が1月に開かれて、2年ぶりの保険料の値下げが決定された。
気になる値下げ幅だが、平均で11%程度、金額にするとおよそ2000円とのことだ。
ちなみに値下げされることとなった背景はズバリ、「交通事故が減っているから」だ。実際交通事故の発生件数は、2004年のおよそ95万件をピークに減少が続いていて、2022年にはその3割程度にまで減っている。さらにいうと、クルマの安全技術が向上したこともあり死亡事故や重い障害が残る事故も減少傾向にある。結果、保険会社が契約者に支払う保険金も少なくなっているという。このような社会情勢が反映されたというわけだ。
さて、この機会に「自賠責保険」とはどのようなものなのかをおさらいしておこう。ちなみに国土交通省のHPにて、「自賠責保険」の特徴が説明されていて、それによるとこれには以下のとおり6つのポイントがある。
1つ目は「加入が義務付けられていること」、2つ目は「人身事故による損害について支払われる保険であること(物損事故は対象外)。3つ目は「被害者1名ごとに支払限度額が定められていること(1つの事故で複数の被害者がいる場合でも、被害者1人あたりの支払限度額は変わらない)」。4つ目は「被害者は、加害者の加入している損害保険会社(組合)に直接、保険金の請求を行えること」。5つ目は「当座の出費(治療費等)に当てるため、被害者に対する仮渡金制度があること」。6つ目は「交通事故の発生において、被害者に重大な過失があった場合にのみ減額されること」、以上だ。
かくして「自賠責保険」はあくまでも交通事故の被害者を救済するためのものだ。なので先述したように物損事故は補償されず、自身のケガや同乗者のケガ等も補償されない。なのでドライバーは、自身のために任意保険に加入する必要があるのだ。
今回は以上だ。次回は任意保険についての基礎知識を最新事情を交えながら紹介する予定だ。お楽しみに。