カーライフに関連する「社会・経済」情報を横断的に紹介している当コーナー。今回は「ETC2.0」についての考察をお届けする。ちなみに「ETC2.0車載器」が発売され始めたのは2015年だが、これの買い時は果たしていつなのか…。そこのところを検証する。
最初に「ETC2.0」とは何なのかを簡潔に説明しておこう。これは、サービスの名称だ。全国の高速道路の約1700か所に設置されている通信アンテナ「ITSスポット」と「ETC2.0車載器」等が、高速大容量の通信方式「DSRC」にて双方向通信することでそのサービスの享受が可能となる。
で、これに対応する「ETC車載器」が「ETC2.0車載器」と呼ばれている。なおこれには先述したように「DSRC」のメカが組み込まれているわけで、なので通常の「ETC車載器」と比べて割高となる(ざっくり1万円とか1万5000円ほど高くなる)。
さて問題は、「ETC2.0」というサービスにてどのようなメリットが得られかだが……。
開始当初から実現されていた利点は以下のとおりだ。まず、「主に高速道路の広範囲な渋滞情報が得られること」がメリットだ。FM多重放送で受信される「VICS」の渋滞情報は基本的に都道県単位だが、「ETC2.0」では前方約1000kmの情報が取得可能だ。なので長距離ドライブに行くときには特に役立つ。地元エリアを走っている時点で遠くの渋滞状況を把握できるので、渋滞回避ルートを選択しやすくなる。
2つ目の利点は「安全運転・災害時支援が受けられること」だ。渋滞末尾情報や落下物情報が適切なタイミングで出されたり、事故多発地点での注意喚起がなされたり、災害時には安全な避難の支援が受けられたりする。
なお当初から、「高速道路料金の割引きも適応される予定」とアナウンスされていたのだが、これが遅々として進んでいない……。
確かに、「圏央道」と「東海環状自動車道」ではそこそこお得に走れるようになっている。例えば「東海環状自動車道の豊田松平から関広見間の72.5kmを走った場合、普通車の「ETC2.0」以外での高速料金は2520円だが、対して「ETC2.0車載器」を搭載していれば2130円で走れる。
また、指定されている道の駅にて休憩する場合には「一時退出」が可能となった。規定時間内に高速道路に戻れば、追加料金を取られずにすむ。とはいえ指定の道の駅の数は多くない。この記事を書いている2022年9月9日現在で、全国で23か所のみだ。
期待されるのは当初から説明されていた、「ETC2.0」が提案する渋滞回避ルートを走った場合に適応される割引きだ。しかしこれについては、未だ実現されそうな気配がない。
これの開始が多くのドライバーにとっての、「ETC2.0車載器」の“買いサイン”となると思うのだが、いかがだろうか。ただ、それがいつになるのかは現状未定だ。国交省等から発信されるしかるべき情報を見ると具体的に検討されていることは確かだが、開始時期は不透明だ。期待して待つしかない……。