'80年代~'90年代に掛けて個性的なクルマがラインアップされていた時代、現代のクルマには無い味わいを求めてネオクラを愛でるユーザーが多い。そんなユーザーが集まる「ネオクラオーナーズミーティング」(5月29日、静岡開催)が開催された。
ネオクラの魅力のひとつがバリエーションに富んだカテゴリーだろう。型にはまらない個性的なモデル群が数多く輩出された時代だからこそ今でも魅力を放つ車種が多い。ワンアンドオンリーのモデルがあるのもネオクラの特徴のひとつ。類似モデルやライバルを持たない自分だけの個性車を乗りこなすのもまたネオクラのひとつの楽しみと言えるのではないだろうか。
イベントに集まったネオクラにはさまざまなジャンルのクルマがあった。スポーツ、セダン、軽カーなど、車種や排気量などでカテゴライズされる場合も多いのだが、その範ちゅうから漏れてなおかつ魅力満載のモデルが集まったので、あえてアラカルト型式で注目した車種を見ていくこととしよう。
中でもネオクラを代表するクルマとして今も個性を放っているのが日産のパイクカーのモデル群だろう。1987年に初代『マーチ』をベースにしてレトロなデザインを施して登場した『Be-1』。ベース車とは異なるレトロや個性的なデザインを施したパイクカーはBe-1の登場で当時の日本でも広く認知されるようになる。クルマで遊ぶ感覚を持った余裕のある設計がバブル期の空気感をよく現している。
もちろん、そんなデザインや設計が今も多くのユーザーの注目を集めているのは間違いない。その後もフィガロやパオなど数々のヒット作を生む日産のパイクカー路線。それぞれにデザインコンセプトがあり、今見ても新鮮さを失っていないところにお驚く。同様のモデルが今リバイバルされても人気になりそう……。
現代では少なくなってしまったスポーツコンパクト系の車種も'90年代前期までは元気があった。低価格でスポーツ走行を楽しめる、いわゆるスポーツ走行の入門モデルとして'70年代からもてはやされていたのがトヨタ『スターレット』だ。KP型、EP型と続く'70年代~'80年代のお手軽スポーツの歴史は'90年代に入っても続きEP82などが今新たに人気を集めている。普段使いできる1300ccコンパクトでありながら、サーキット走行までをこなしてしまう万能モデル振りが現代のクルマには無い魅力のひとつだ。
またスペシャリティーカーとして一時代を築いたホンダの『プレリュード』もネオクラとしての資質十分な車両だ。1982年に登場したリトラクタブルヘッドライト搭載の2代目モデルが大ヒットすると、時代の空気感もありプレリュードは“彼女とのデート御用達のクルマ”というイメージを持たされることになる。装備やデザイン面でそれに応えていたのも事実だろう。その後も'00年代前期までモデルチェンジを経て生産されている。いずれのモデルも時代の雰囲気を感じさせる上質で高品質な作り込みが魅力のクルマとなった。
その他にも'90年代前期にWRC(世界ラリー選手権)を席巻した『セリカGT-FOR』も時代の寵児的なモデルだ。'90年代前期にWRCを制した当時のレプリカカラーを身に纏ったセリカがエントリーするなど、ネオクラの楽しみ方や趣味趣向は実に幅広いことがわかる。
さらにスポーティなクーペボディも今では数少なくなっているフォルムだ。ネオクラとして多くのファンに愛されているのがスバル『SVX』だ。今では『レヴォーグ』に代表差れる2BOX系のブランドイメージが強いが、当時はSVXのような2ドアクーペにも力を入れた。今も名車として熱狂的なオーナーが大切に乗る車種のひとつ。
このように、探せばまだまだ個性的で魅力満載のクルマがあるネオクラ。オールドファンなら当時乗りたかったクルマ、新しいユーザーなら現代にはないデザインやメカニズムを備えたクルマとして、ネオクラのお目当て車種を探してみるのも良いかもしれない。