MINIは1月25日、クラシックMiniをEV化するプログラム、「MINI Recharged」を英国で立ち上げた、と発表した。
◆1959~2000年に530万台超が生産されたクラシックMini
現在のMINIのルーツとなるクラシックMiniは1959年8月26日、英国の当時のBMC(ブリティッシュ・モーター・コーポレーション)が発表した。1959年から2000年の間に、英国で生産されたクラシックMiniの台数は、530万台を超えるヒット作となった。
このクラシックMiniの後を受け継いで、BMWグループは新世代MINIを2000年9月、パリモーターショー2000で初公開した。MINIの生産は2001年、英国オックスフォード工場で開始された。2006年にはモデルチェンジを受け、2世代目が登場した。2013年には、3世代目にモデルチェンジを受けている。
現在、MINIは、スペースの創造的な使い方と運転の楽しさという点で、クラシックMiniを設計したアレック・イシゴニスとのつながりを維持しているという。MINI Rechargedプロジェクトは、21世紀のクラシックMiniのストーリーを、持続可能な方法で伝え続ける機会に位置づけられる。
◆2018年のワンオフEVに対する良好な反応がプロジェクトの契機に
MINIは2018年春、ニューヨークモーターショー2018で、クラシックMiniをEV化したワンオフモデル、『クラシックMiniエレクトリック』を発表した。クラシックMiniエレクトリックは、ブランド初の量産EVの「クーパーSE」の発売に先駆けて、MINIの原点であるクラシックMiniをEV化した1台だった。MINIによると、革新的なゼロエミッション技術を採用しながら、ブランドならではのキャラクターを維持するというコミットメントを示す1台だったという。
クラシックMiniエレクトリックでは、フルレストアされたクラシックMiniに、EVパワートレインを搭載。その詳細は公表されなかったが、電気モーターのパワーによって、ゴーカート感覚のハンドリングに新次元をもたらす、としていた。
このワンオフモデルに対する反応が好意的だったため、MINI の英国オックスフォード工場に専任チームが作られ、クラシックMiniを所有する顧客に向けて、EVへのコンバートを可能にするプロジェクトが計画された。
◆最大出力122hpのモーターで0-100km/h加速は9秒
MINI Rechargeプログラムでは、クラシックMiniのエンジンを降ろし、最新のEVパワートレインを移植する。電気モーターは、最大出力122hpを発生し、0~100km/h加速およそ9秒の性能を可能にする。
バッテリーは、最大6.6kWの出力で充電できる。1回の充電での航続は、約160kmとなる見通し。インテリアには、最新のMINIをモチーフにしたセンターメーターが装備され、モーターの温度、ギア、バッテリー残量、速度を表示する。
また、MINI Rechargeプログラムでは、後日、クラシックMiniを内燃エンジン搭載のオリジナル状態に戻すことができる。各車両のエンジンにはマークが付けられて保管されるため、クラシックMiniを将来、再改造する際に利用できる。
◆EV化で排出ガス規制を気にせず乗り続けることが可能に
MINI Rechargedプロジェクトは、クラシックMiniのモデルライフを持続可能な方法で延長できることを意味するという。クラシックMiniのオーナーは、その愛されているキャラクターを維持しながら、EV化によって排出ガス規制を気にせず、クラシックMiniに乗り続けることが可能になる。
MINI Rechargedによって、クラシックMiniは、まったく新しい運転体験を得ることができる、と自負する。瞬時に加速し、多くの大都市に設けられている電動車や低排出ガス車のみの乗り入れゾーンに入ることができる。また、MINI Rechargedは、「サーキュラーエコノミー(循環型経済)」というブランドの将来の戦略に合致するという。このプロジェクトでは、新車は生産されない。既存の車を有効活用する。現在、新車で販売されるMINIの5分の1が、電動パワートレインを搭載している。MINI Rechargedプロジェクトは、ブランドのクラシックカーで未来体験を可能にするという。
MINI Rechargedは現在、英国でのみ実施されている。EV改造された各車両には、シリアルナンバーやコンセントをモチーフにしたデカールが付けられる。MINIブランドを統括するベルント・ケルバー氏は、「MINI Rechargedにより、過去とブランドの未来をつなぐことができる」と語っている。