魂動デザインの上級車が最近のマツダ車のイメージだが、今で言う『マツダ2』の前身の『デミオ』や、個性を発揮するマツダのコンパクトカーがあった。今回はそうしたクルマたちを振り返ってみたい。◆フェスティバ(初代・1986年、2代目・1993年)フォードの販売チャンネルとして展開していた“オートラマ”の(日本国内では)専売車種として登場。初代のピンクの表紙のカタログは懐かしいばかりだが、ブリスターフェンダー、キャンバストップなど、ヨーロッパ調の小粋なスタイルが特徴だった。チャウチャウの大きなヌイグルミがマスコット。韓国・キア製の5ドア、4ドアノッチバックセダンも存在。1.3リットルDOHC搭載のGT、GT-Xも用意されたほか、丸型ヘッドライトのイタリアンな仕立てにGT-Aも限定車で登場。2代目は1993年に登場。当時の『ファミリア・ネオ』にも通じるハッチバッククーペだったが、初代ほどの存在感は示せなかった。◆オートザム・レビュー(1990年)当時の“オートザム”専売車種として登場。全長3.8mのコンパクトな4ドアセダンで、カタログでは“コンパクト2.5Box”と謳っている。丸みを帯びたキュートなスタイリングが特徴で、それは同じオートザムの軽自動車『キャロル』とイメージが通じるものだった。カタログのコピー中に“よろこんではまってみたいと思う、きょうこの頃です”とある“きょうこの頃”は、広告キャラクターの小泉今日子にひっかけたものだったのか? 電動キャンバストップは前後開閉と中間位置での固定が可能な3ウェイ。◆デミオ(初代・1996年)“新ジャンルの自由型ワゴン”を謳い文句に登場。全長3800mm、全高は散った立体駐車場に入庫可能な1535mm(ルーフレールなし車なら1500mm)とし、日常の使い勝手を重視した。後席は160mmのスライドと左右独立式17段階のリクライニングが可能で、多彩なシートアレンジが可能だったほか、ショルダーレストと呼ぶ背もたれ左右は脱着式に。クッションごとチップアップさせ、ラゲッジスペースと連続したフラットなフロアを作り出すこともできた。搭載エンジンは1.3、1.5リットルの2機種。『フェスティバ・ミニワゴン』はフォード版として用意された同車の兄弟車。◆ベリーサ(2004年)車名の『ベリーサ』はイタリア語のVerita(真実)+英語のSatisfaction(満足)を掛け合わせた造語で“真の充足”の意味。クラスレスの上質さにこだわったクルマで、ハーフレザーシート内装なども設定。グローブボックスのフタを開けると、裏側に73mmかける140mmの大型サイズのメイクアップミラーが用意されていた。ワンタッチの操作で折り畳める後席や、フレキシブルボードと呼ばれるラゲッジボードは用途にあわせて2段に使えるなど、利便性の高さも特徴だった。