生活に根ざした欧州Aセグメントのコンパクトカーたち。実用車でありながら、各車“キャラ”の立ったチャーミングなクルマが多い。今回はそんな“山椒”のようなモデルを取り上げる。◆フィアット・パンダ(初代・1980年)今年デビュー40周年を迎えたフィアット『パンダ』。その初代モデルの設計は、よく知られているようにG・ジウジアーロが手がけたもので、すべて平面ガラスを用いた外観は見るからにシンプル。インテリアも初期型はハンモック状の前席、まるで日本の敷布団のように伸ばしたり畳んだりできる後席、全体がポケット状になったインパネなど、創意工夫に溢れていた。実用車ながら、ダブルサンルーフなど遊び心を忘れない装備はイタリア車らしいところ。四角いボディ形状のおかげで、取り回しも楽(初期型の最小回転半径は4.6m)だった。最終型では時代に照らしてさすがにボディ剛性が鷹揚な印象があったものの、とにかく潔くシンプルな基本設計の魅力、存在感は今でも魅力的に映る。◆ルノー・トゥインゴ(初代・1995年)初代『トゥインゴ』が当時の(株)フランス・モーターズ(ヤナセ)により日本市場に導入されたのは1995年のこと。青山のショールームで開催された発表会には筆者も出席したが、「ワン、ツー、スリー、トゥインゴ!」の掛け声とともにお披露目された。前年に本国で“イージー”と呼ぶ2ペダルのマニュアル車(シフトは“手動式”だった)が登場したのを受けての導入でもあった。一見するとファニーなスタイルだったが、後席は17cmのスライド機構をもつなど、ちゃんとした実用車。ロングホイールベースとフカッ!としたルノー特有のシートで、乗り心地も優しく快適だった。途中からパワーステアリングが装備され、ボディカラーが同系色で単色がメタリックに切り替えられるなど粋なセンスをサラリと発揮していた。◆アウトビアンキY10(1985年)フィアット『パンダ』と共通のコンポーネンツを用いて仕立てられたモデル(ホイールベースは共通の2160mm)。写真のカタログは当時の輸入発売元だったJAXが用意したもので、表紙がビニールコートされた、なかなか立派なもの。ランチアのコンパクトカーとして造られたため、アルカンタラ内装を世界初採用したインテリアは上質な仕上がりぶり。当時、新開発されたファイアエンジンを搭載(999ccと1048cc、さらに後者にはターボも設定)。カタログには“シティギャング的乗りこなしがピッタリの新ボーイズレーサー”といった記述も。◆VWルポ(1998年)日本市場への導入は2001年7月。当時の『ポロ』のホイールベースを90mm切り詰め、相対的にワイドトレッドと全長×全幅=3525×1640mmのコンパクトなボディを活かした快活な走りが特徴。ややラテン車風のしなやかなタッチの乗り味も印象的だった。ボディ色をあえて出したインテリアはシンプルだったが、後席中央にもヘッドレストを装備(乗車定員は5名)、バックドア(とボンネット)のステーにはアルミ製のガス封入ダンパーを採用。前席スライド機構にはローラーベアリングが用いられていた。エンジンは1.4リットルで、1.6リットルDOHC搭載の“GTI”も登場した。タイトル写真に写っているのは、兄弟車セアト『アローザ』(後期型)のカタログ。◆オペル・ヴィータ&ティグラ(1995年)日本市場へは1995年3月に導入。翌96年1~8月には輸入コンパクトカー中、販売台数1位の記録を残している。当時展開されていたオペル車のエントリーモデルで、リヤシートのキャッチ部分とヒンジを強化するなど、クラストップレベルの安全性能もアピールしていた。1.4リットルモデルのほか、性能を高めた1.6リットル(16V)も設定。さらに2+2のコンパクトクーペの『ティグラ』も用意。こちらは同社の『マンタ』などの血をひくCd値=0.31のエアロダイナミクスボディのスタイリッシュなコンパクトカーだった。
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