「多くの人が、BMWのロゴは飛行機の回転するプロペラを様式化したと信じている。しかし真実は異なる」。BMWグループのクラッシクアーカイブ責任者、フレッド・ジェイコブス氏は明言する。BMWは、サイトや印刷媒体で使うコミュニケーションロゴを新しくしたのに合わせ、“プロペラマーク”の由来について解説している。BMW=バイエルン発動機製作所の名前での歴史は1917年に始まる。今日のBMWの前身となる会社は複数あるが、ミュンヘンに本拠を置く航空機エンジンメーカーのラップ発動機製作所が改名したのだ。ちなみにこの時、将来の製品として、自動車用のエンジンがすでに宣伝されていた。新会社BMWのロゴは1917年10月5日に制定された。青と白に塗り分けられた四分円はこの時から続いているのだ。円は前身のラップのロゴを継承したもので、BMWの文字を円周に沿って配置した。そして、内部の塗り分けはバイエルン自由州の州の色を表す、というのがBMWの現在の見解だ。航空機エンジンのメーカーだが、ロゴ設定時にプロペラや青い空、白い雲という意味はなかった。BMWプロペラの伝説はいつ、現れたのか。BMWによると、1929年の広告で、回転プロペラにBMWのロゴが付いた航空機が描かれたという。BMWがプラット・アンド・ホイットニーの航空機エンジンをライセンス生産したときの広告だそうだ。プロペラの解釈は、航空機エンジン製造という会社のルーツと能力を強調しているため、その後も広告イメージによく使われた。BMWは長い間、BMWプロペラの神話を正そうとしなかった、とジェイコブス氏は認める。いっぽうで、もしプロペラに固執したいなら、それも間違ってはいない、と言う。「BMWロゴがプロペラだという解釈は正確ではない。ただし90年間も一般的であったわけで、したがって正当化されるだろう」。