「最近、交通事故が減ったように感じます。その代わり入庫してくるクルマは高度化しているので、修理もなかなか大変でね…」ある鈑金塗装工場を取材した際の工場長の言葉には、実感がこもる。現場の整備士が肌で感じている通り、実際のデータを見ても、交通事故は減っている。警察庁が先頃まとめた、2019年の交通事故総数は約38万件。2005年の約95万件をピークに14年連続で右肩下がりだ。最近のクルマは、ドライバーの運転を支援する先進安全技術を多く搭載しており、これらが近年の交通事故減少に一役買っているのだ。しかし、交通事故自体が減少しているとはいえ、実際に愛車が事故により大きな損傷を受けてしまった場合、その処遇はカーオーナーにとって悩ましいところ。修理して乗り続けたくても、ディーラーや修理工場からの見積提示が、損傷の大きさにより、数十万~数百万と高額になるケースや、廃車を検討しようにも廃車費用が掛かると言われ、ローンの残債も合わせ、途方に暮れるという経験をしたことがあるカーオーナーの方もいらっしゃるのではないだろうか。▼事故車の売却がオンラインで簡単、迅速にそんな不運な境遇のカーオーナーに朗報が届いた。事故や災害などで損害を受けた「損害車」の買い取りおよび販売輸出事業を行う株式会社タウ(埼玉県さいたま市)が、損害車買い取りとしては業界初となる「オンライン事故車査定システム」を開発。2月19日にメディア向けの発表会を行った。このシステムは、同社独自の修理代算出システムの開発により、正確な価格算出が可能になったことで、損害車の売却希望ユーザーに買い取り価格の目安ではなく、実際の買い取り価格の提示をするというのが最大のポイント。 また“60秒、3ステップ”という分かりやすい操作と流れで、利便性の向上とより迅速な対応が可能になったとしている。 ▼新たな付加価値提供の必要性発表会の場で、同社の川上大地執行役員は、今回のシステム導入のきっかけが昨年の台風19号の水害被害だったと説明。「台風上陸後は、創業以来最大となる、1万2000台もの水害車の引き取りを実施しました。未曾有の災害に直面したユーザーに対して、私たちに何ができるのかを考えた時、愛車を大切にされてきたユーザーの心情や境遇に配慮した新たな価値提供の必要性を痛感し、手軽で、迅速に、分かりやすいオンライン完結型の売却サービスの立ち上げを決めました」と伝えた。併せてシステムの正式リリースを3月上旬と発表し、初年度は1,450人の利用を見込んでいるとした。▼“クルマの価値”は国内と海外に差が…読者の皆様の中には「なぜ、事故車が高く売れるのか?」と疑問を感じる方もいるのではないだろうか。同社が買い取った損害車は、同社が持つ独自の販売ネットワークを通じて、様々な形で国内外へ流通されるのだが、注目すべきは、海外における“クルマの価値”だ。日本では廃車同然のクルマでも、動きさえすれば自動車としては十分に価値があるとする海外の国は多い。また、事故車に対するネガティブイメージの違い、その国の保安基準・修理コストの差など、事故車の価値が日本国内とは大きく異なることを知っている方は意外と少ないのではないだろうか。今回の同社のサービスは一例に過ぎないが、事故や災害などをきっかけにして、愛車に乗り続けるのが難しくなった場合、手放す前にその価値をしっかり考え、様々な選択肢を調べてみる価値は十分にあるということをお伝えしたい。クルマの価値は決して「走ること」だけではない。
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