ホンダ初代『シティ』の登場は1981年。このあとに82年にボレロのCMが話題となった2代目『プレリュード』、83年には“ワンダー・シビック”こと3代目『シビック』が『CR-X』『シャトル』(と4ドアセダン)を伴って登場した。言いたいのは冴えたホンダ車が次々と登場したのが80年代で、そのトップバッターがこの『シティ』だったという訳だ。◆画期的「トールボーイ」スタイルと多彩なバリエーションリアルタイムでこのクルマのデビューに立ち合った人なら、“マッドネス”のあの風変わりなムカデ歩き(ダンス?)のCMや「シティは、ニュースにあふれてる」のコピーを鮮明に覚えているはずだ。クルマそのものはもちろん、そんな打ち出し方までもユニークだった。今カタログを開いても、当時の楽しげなムードが懐かしく伝わってくる。改めて感じるのは、いかにも当時のホンダらしい勢い、思いきりのよさが作らせたクルマだったのだなあということ。現代ならあたり前のトールボーイと呼ばれた背の高さ(1470mm)と3380mmしかない全長の組み合わせがそもそも相当に個性的で、そのチョコンというかコロンとした佇まいは目をひいた。もちろん、当時の乗用車より70mmは高く、トラックよりは低い着座位置も背の高いパッケージングにより実現されたもので、初めて実車に座った時には「さて、どうしたものか」と戸惑ったことを覚えている。登場時には同時に4ナンバーの“PRO”も設定、「商用車のコチラ版なら、トラック感覚でこのポジションでもわからなくもない」などとも思ったものだ。また86年の終了まで、実に多くのバリエーションが意欲的に出されたことも印象的だ。登場翌年の82年には“ターボ”“マンハッタンルーフ”、83年には“ターボII”、84年には“カブリオレ”といった具合。ほかにベーシックカーらしく燃費にこだわった“Eシリーズ”や85年には副変速機を備えた“ハイパーシフト”も登場している。◆「モトコンポ」も…遊び心が今では懐かしいとはいえやはり注目株はターボで、1.2リットルながら最初のモデルで100ps、ターボIIではインタークーラーを備え110psにパワーアップした。ターボIIは“ブルドック”の愛称があり、ブリスターフェンダーで前後トレッドも拡大させ、ナリは小さくとも迫力満点の姿が印象的だった。もちろんトルクステアも辞さない爆発的な加速には舌を巻いた。さらにブルドックのボディをベースにピニンファリーナがソフトトップの設計を手がけた“カブリオレ”も忘れられない。僕も当時、神奈川県の逗子マリーナで開催されたメーカーの試乗会に参加したが、会場には全12色のカラフルなボディカラーが揃えられ、「こんなにお洒落で楽しげな日本車が登場してくれたとは!」と喜んだものである。それともうひとつ、『モトコンポ』も忘れられない。『モンキー』の上をいく小ささで、全長118.5cm、乾燥重量42kg、ガソリンタンク容量2.2リットルのこの箱型(?)ミニバイクは、ハンドルとシートを畳めば何と『シティ』のトランクにすっぽりと載せられるという画期的なアイデアで、『シティ』とともにデビューを飾っていた。2輪と4輪の組み合わせはホンダならではだったが、そんな遊び心が今では懐かしい。
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