一台の愛車に長く乗っているとつい気になるのが経年劣化。ヘッドライトの黄ばみ・くもりや内装シートのヤレ・破れなどは、走行自体に支障がなく放置しがち。とはいえ、みすぼらしい見た目はできるなら改善したいもの。実は今、そうした自動車に関わるケア・補修技術が異業種からも高い注目を集めている。9月18~20日、東京ビッグサイトで開催されたクリーンビジネスの事業者向け展示会「第3回クリーンビジネスフォーラム(CBF)」に、業界内でも高い知名度を誇る大阪のプロショップ「カーメイクアートプロ」やカーディテイリングのプロショップ集団「東京ディテイリング倶楽部」が出展。クルマをキレイにするディテイリングの技術に、クリーニング関連などの多彩な異業種から熱い視線が注がれた。◆カーディテイリングとクリーニングの高い親和性今回、カーメイクアートプロはドイツから輸入するレザーケアブランド「カラーロック」を展示。東京ディテイリング倶楽部からは、埼玉県三郷で25年にわたってフィルムやコーティングを手掛けるプロショップ「フィット」が出展し、オリジナル資材・技術を用いたヘッドライト復元術を披露した。カーメイクアートプロの担当者が、近年広がりを見せているというのがレザーケア。「これまで中古車販売店などプロからの依頼が多かったが、近年では個人ユーザーからの依頼も増えており、バッグや靴などのお客様の私財を合わせて扱うこともある」という通り、ブースには女性客など通常のカーショップには少ない客層も多数見受けられた。さらに、クリーニング関連の事業者がメインとなる展示会ながら、異例の盛況を誇ったのがフィット矢野貴司代表が登壇したヘッドライトについてのセミナーと実演ブース。矢野代表は「クリーニング関連の事業者様はもとよりアミューズメント施設様なども数多く来訪した。これまで考えもしなかったが、思い起こしてみると特に地方・郊外だと、施設の脇には広大な駐車場に多数のクルマ。そうした場所でもディテイリングサービスを提供する可能性が見えた」とイベントを振り返った。同じく実演ブースで賑わいを見せていたのが、ベビー用品専用クリーニング店「キッズぽけっと」。広く普及する一方で多彩なモデルが存在するため分解・組み立て方が複雑で、洗浄に技術を要するベビーカーやチャイルドシート。独自のノウハウを持つ同社では安全かつ衛生的な洗浄を実現しており、こちらも矢野氏のヘッドライトリファイン同様、セミナー・ブースの両面で多彩な業種からの関心を集めていた。他方、自動車以外のブースでは真逆の現象も。皮革メンテナンス技術を提供するワイズプラントや、シミ抜き剤などをはじめとしたクリーニング資機材の商社カミナガ販売など、クリーニング事業者をターゲットに出展していたブースには多数の自動車関連事業者が訪れたようで、「問い合わせが思いの外多く驚いた」(ブース担当者)との声も聞こえてきた。◆いつの間にか変わるかもしれない身近な世界特に2000年代以降、サービスのコモディティ化を背景に、イノベーションを起こしやすい側面もあってビジネストレンドの1つになりつつある異業種コラボ。自動車業界では、自動運転社会を見据えて連携が進むIT業界と各自動車メーカーのタッグが有名だが、カーディテイリング業界の動きはカーオーナーにとってより身近なため、気になるところだ。今回の展示会はあくまで事業者向けなので、この会場で生まれたコラボサービスが実現したとして、我々エンドユーザーの元に届くのは少し先の話。だが、気がついたら、自宅近所のクリーニング店やコインランドリー店、娯楽施設で便利な洗車や補修サービスを実施していたり、修理・整備しか提供していなかったプロショップでシミ抜きや内装ケアを受けられたり、なんてことも。広がりつつあるカーディテイリングサービス、愛車を綺麗に維持したいオーナーならチェックしておいて損はないハズだ。
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