そんな中、今回はユーザーから圧倒的な支持を受けているケンウッドの最上位ドライブレコーダー「DRV-830」を取り上げることにした。
◆圧倒的な高画質で細部まで録画が可能
DRV-830が最大のウリとしているのはドライブレコーダーとして欠かせない高解像度映像だ。本機ではそのために、映像を捉えるイメージセンサーとして約370万画素の高画素タイプを採用。これによって、フルHDの約1.8倍の解像度となるWQHD(2,560×1,440)の「3.7メガ記録モード」での記録を実現している。記録した映像はドラレコとして十分に高い解像度を発揮しており、対向車のナンバープレートも鮮明に捉えている。解像度的にはやや強調感を感じるものの、情報識別を必要とするドラレコとしてはむしろこの程度の輪郭強調はあった方が良いと思う。視野角の広さも水平で132°と数あるドラレコの中でもかなり広い。最近のクルマはフロンドガラスが大型化しており、そうしたクルマでもこの画角なら十分に対応できるだろう。
組み合わせるレンズは明るさがF2.0と特筆すべきものではないが、夜間でもかなり明るく再現することができ、しかもノイズが極めて少ない。通常、暗いシーンを明るく再現するとノイズが目立つようになるのだが、本機ではその傾向がほとんど見られないのだ。また、周辺部の歪みが少ないため、映像を自然に見られるのも本機の評価できるポイントだ。
◆最高レベルのHDR機能が厳しい条件でも能力を発揮する
DRV-830は輝度差が大きい場所でも力を発揮する。トンネルの出入り口など明暗差が大きいとどうしても白飛びが発生しやすいが、そういったシーンでも本機は鮮明に映し出していた。これはHDR(ハイダイナミックレンジ)と呼ばれる映像処理回路が機能しているため。この機能の搭載したことを謳いながら効果をほとんど発揮できていない機種が少なくない中で、本機のHDR効果は極めて高いレベルにあると言っていいだろう。これら一連の映像表現で力を発揮できているのは、JVCブランドのビデオカメラで培ったノウハウが活かされているからだ。美しい動画映像として表現するには、常に高度な処理を続けながら巧みに表現する技術力が欠かせないが、その点でケンウッドは長年ビデオカメラで動画技術を培ってきたJVCの経験が活かせる。DRV830が一際レベルの高い映像を見せているのはそうした背景があったからで、この辺りが他のドライブレコーダーとの違いとなっているのだ。
◆長時間録画を実現するダブルスロットル搭載
一方でフルHDを超える高解像度映像となれば、それはデータサイズの増加も意味する。ドラレコでは古い映像から順番に上書きしていくのが基本。つまり、解像度が高くなると鮮明な映像を捉えられると同時に、記録できる時間は必然的に短くなってしまうのだ。そこでDRV-830では映像を記録するマイクロSDカードのスロットをダブルで用意した。対応可能なマイクロSDカードは最大128GBのマイクロSDXCで、これをダブルで挿入すれば高画質なWQHDでも最長21時間20分、HD(1,280×720)解像度なら最長53時間20分もの長時間録画が可能となる。これならロングドライブにも十分対応できる。
そして、再生時に大きな力を発揮するのがドライブレコーダーとして最大級の3型モニターの搭載だ。これはドライブ中に視認するというよりも、撮影した映像をチェックする時やメニュー操作する時にメリットを見出す。これだけの大きなモニターをルームミラーの裏に隠すのはもったいない気もするが、本機はルームミラーの裏にもピッタリ収まるサイズ。今回は運転中に余計な映像を見なくて済むという安全面を考慮し、敢えてこの位置に取り付けた。
◆使いやすさは特筆レベル。分かりやすいGUIで迷わず操作。
安全面という意味では、DRV-830の使い勝手の良さも採り上げたい。本体にある操作ボタンがGUI(グラフィック・ユーザー・インターフェイス)によって分かりやすく表記されており、特に頻繁に使うイベント記録用ボタンが押しやすい本体下にあるのは便利だ。音声記録のON/OFFもワンタッチにできる上に、静止画撮影も録りたい時にデジカメのように気軽に撮影できる。DRV-830は、こうしたドライブの思い出を記録する使い方もしっかり造り込んでいるところが素晴らしい。いざという時のイベント記録も本機は万全だ。仮にアクシデントなどで突発的な衝撃を感知すると、その時点の手前10秒からイベント記録として計25/40/70秒間(任意設定可能)を別フォルダに自動保存。これは任意に本体下に用意されたイベントボタンを押した時でも同じ対応となる。
もちろん、LED信号機には電源周波数に同期して点灯を消してしまわないよう27fpsで対応。そのため、信号機のチラツキは出るものの、日本全国どこでも信号機を鮮明に記録できる。また、消耗品である記録に使うマイクロSDカードの寿命を知らせる機能も装備(付属マイクロSDカードまたは別売指定マイクロSDカード使用時のみ)。ドライブレコーダーでは記録消去を頻繁に行うため、記録でのこうした対応はドライブレコーダーとしての安心感を高めてくれるのは間違いない。
◆GPS搭載による正確な位置記録。安全支援機能も充実。
本機はGPS受信も行う。これが撮影した緯度経度情報を映像に常時記録していく。時刻もGPS情報に基づいて自動修正するため、セットアップ時の時刻合わせをする必要もない。そして、この情報はPCで展開するビューワーソフトにも対応しており、走行した位置情報だけでなく、各区間ごとの走行状態までもPC上で把握できる。さらに速度やGセンサーチャート、GPSデータを読み込んだ地図表示などが可能。動画映像からは静止画を切り出せるので、お気に入りのシーンを静止画として残すのにも役立つ。また、本機では過去モデルと同様に「車線逸脱」「前方衝突」「発進遅延」の3つの安全運転支援機能も搭載した。高精度に動作させるには、取り付けをフロントガラス中央部に取り付けた上でキャリブレーション設定が欠かせないが、その際の精度はまずまず。さすがにクルマ側に搭載された同様機能に比べると見劣りはするが、いざという時の安全運転支援には役立つだろう。
総合的に見てドライブレコーダーとして本機の能力は極めて高い。撮影した映像のクオリティはもちろんのこと、使い勝手の良さは使っていて大きな安心感を生み出す。カー用品量販店では3万円弱と高級機のクラスにはなるが、本機はそれに見合うだけの十分な能力を備えている。DVR-830は、高級機を購入した満足感をしっかり感じ取れるスペックに仕上がったモデルと言っていいだろう。
◆ナビ連動ドライブレコーダーにも注目
同社にはKENWOODカーナビゲーションと連動するドライブレコーダーも用意されていて、DRV-N530(フロント用)/DRV-R530(リア用)がそれにあたる。こちらの機種も高画質が売りとなっており、フルHD(1,920×1,080)を超える3M(2,304×1,296)を実現し、常時録画・イベント記録・手動録画・駐車録画および、フロントとリアの前後ダブル録画(※1)に対応している。ナビ連動の大きな利点として、ナビ上で録画された映像をフロント・リアをシンクロ再生(※1)で確認でき、さらにナビの地図と連動して画面に表示出来るので、録画された場所が知覚的にも非常に分かりやすくなる。画面にあるボタンを押すことでリアカメラ設置時も、同様にナビ画面で確認出来るのが良い。もしもの時はもちろんのこと、ドライブ中に見つけた“何か”を思い出すのも映像と地図を同時に見ながら探せるので非常に分かりやすい。ドライブレコーダー単体モデルもカーナビ連動モデルも非常にクォリティーが高く、いざというときに確実な作動が必要なジャンルの製品なので実績あるブランドを装着するのがベストであり、ケンウッドの製品はそれに応えてくれる優良な製品と言い切れるだろう。また、ケンウッドのドライブレコーダーは、事前登録すればレッカー搬送を伴う交通事故にあわれた場合ドライブレコーダー協議会から一律4万円の補償金が支払われる「事故時補償制度」に全機種が対象となっていることも安心して選べるポイントである。※1:前後ダブル録画及びシンクロ再生はケンウッドカーナビ「彩速ナビ」TYPE Z/Mが対応。