東北自動車道・一関ICより東へ向かう快適なドライブルート・国道342号を走ると左手に現れる「サウンド フリークス」(岩手県一関市厳美町字天王38-1)。1993年創業という歴史ある同店は、全国規模のオーディオコンペでも何度も優勝経験を持つ実力派ショップだ。代表の佐藤さんは若い頃からオーディオ好きでオーディオ機器を扱うショップでバイトしていた時期もあったほど。また子供の頃から木工が大好きで、学校の授業で作る木工工作ではいつも優秀な成績を収めていた。手先の器用さやアイデアは幼少の頃から培われていたのだろう。また地域的に交通手段のメインになるのがクルマ、おのずと佐藤さんも免許を取る年代になるとクルマに興味を持つ。「クルマとオーディオが好きだったので、必然的にカーオーディオに興味を持つことになったんです。当初からホームオーディオの音を車内で再現するのが自分の中のテーマでした」。ハンドメイドでカーオーディオのインストールをはじめたのは19歳の頃、しかし程なくして地域のクルマ関連ショップからオーディオのインストールの手伝いを頼まれるようになり、いつの間にかオーディオが仕事になっていった。さらにプロショップでの修行を経て自宅ガレージで「サウンド フリークス」を創業する。「当初はショップの営業と言うよりも自分のクルマを作ることに熱中していました。ドアスピーカーを4発付けたりのダッシュにテレビを埋め込んだり、木工の技術も愛車でいろいろと試していました」。オーディオ面でもオリジナルのネットワークを作るなど、ホームオーディオで培った知識や技術を存分に発揮しはじめる。開店当時はまだアナログオーディオが全盛、当然のように佐藤さんもアナログで音を良くするアプローチを実践していた。そんな時に出会ったのがカロッツェリアXだ。デジタルプロセッサーを使った調整とそのサウンドに度肝を抜かる。単純に面白いと思った。デジタルの可能性をいち早く感じ取った佐藤さんは当時開かれていたデジタルシステムの勉強会やコンテストなどへ積極的に参加するようになる。今では考えられないが参加当初は酷評されることもあったと言うが、着々とデジタルでの技術レベルも高め、1年も経たずにコンペで上位入賞している。さらにその後のオーディオコンペでの華々しい成績を見れば、同店の実力の高さがうかがい知れる。そんな佐藤さん、オーディオユニットの中でも特にスピーカーにこだわりが強い。スピーカーを鳴らし切ることを目標にシステムを組んでいくのがポリシーであり、「スピーカーが最初にあるべき」と考えている。常にスピーカーがもっとも高いパフォーマンスを持ったユニットであり、その能力を周辺の機器を使うことで引き出していくという手法だ。これがスピーカーを鳴らし切るとことなのだという。「ただしスピーカーの鳴らし方には正解はありません。それぞれのユーザーは欲しい音が違っています。その音作りのお手伝いをするのがショップの役割、そのために音作りの引き出しをたくさん持っているのがプロなのです」。ユーザーは自分が良いと思う音を見つけたいと思っている。自分のクルマを聴いて「もっと良い音があるんじゃないか」と。そこに対してぱっと回答を提供できるのが同店の強みなのだ。良い音を知りユニットの鳴らし方を知り、調整とインストールの高度なノウハウを知る同店だからこそできることだ。佐藤さんの接客スタイルは熱く語ることが特徴だ。オーディオの楽しさや面白さ、音作りやインストール、音源の話など自分自身が経験してきたことを包み隠さず話すスタンスだ。来店したオーディオ好きがその語りに引き込まれていくのは当然と言えば当然。さらに来店した客に対して常に“時間を掛けて選ぶ”ことをアドバイスする。来店一回目でいきなりシステムを決める例は少ないという。ユーザーが来店前に想定していたシステムでも、もう一度考えたらもっと良いシステムもあるのでは?、そんな思いから客と一緒になって最適なシステムを考えてくれる。「ゆっくり行きませんかとアドバイスすることが多いです。予算内で他にも良いシステムがきっとあるはずです。時には他のユーザーのクルマを聴いてもらって選択肢を広げることもします。これはオーディオを楽しむために必要なのことだと考えています」。時間をかけてゆっくりと自分が欲しいと思っている理想の音作りをサポートしてくれる同店。コンペシーンなどで有名なショップなのでヘビーなシステムばかりが目立ってしまいがちだが、内蔵アンプでスピーカーのみの交換というライトなオーダーも多いという。良い音を作りたいと思うユーザーの願いを最適な方法で叶えてくれる同店を訪れてみると良いだろう。