【通学路事故】このところ、立て続けに幼稚園の送迎バスやスクールバスが事故に遭っていて、車内のこどもたちのことが心配でならない。クルマのなかにいるこどもを守るためには、「チャイルドシート」だよね。そう、警察だって高速道路を中心に「全席シートベルト」って訴えている。もっとも、大人用につくられたシートベルトを、こどもにそのまま装着したって意味がないんだから、チャイルドシートやジュニアシートを使ってと言わないと意味ないと思うんだけど←この部分、声が大きくなっちゃうよ! 警察庁のみなさーん、聞こえていますかー!◆送迎バスにチャイルドシートが採用されない理由こどもには、チャイルドシート。だけど、送迎バスではチャイルドシートはほとんど採用されていない。相乗りバスやタクシーには、「道路交通法施行令、第26条の3の2、第3項」で、チャイルドシートの着用義務は免除されているからだ。送迎バスの運営者が使わない理由は、こうして法的に免除されていることもあるけれど、チャイルドシートを買いそろえるという金銭的な問題も間違いなくある。全員用、そろえるとしたら大変な負担なのだ。だけど、それだけではない。彼らの大義名分としてあるのは、「チャイルドシートでシートベルトをかけてしまうと、車両火災などがあったときに、園児が逃げられないから」である。ひとりの付き添いで、何人ものこどもをケアしなければならないため、対応できないというのだ。うーむ、車両火災と交通事故、どちらが発生する確率が高いか考えようよと言いたい。だけど、「んじゃ、あんた、車両火災で逃げ遅れたこどもがいたら責任とれんのか!」と言われたら、確かにとれない。すみません、とれません。たしかに言われてみると送迎バスは火災を想定して「出入口は二か所以上」というルールがあるのも事実なのだ。そうか、送迎バスは、火災をそこまで現実的なこととして考えてくれているのか。これはこれで、すごいことである。◆ベルトがかかればいいわけではないとある県の某保育園ではこうした状況をなんとかするべく、送迎バスの衝突事故を心配して、園長自ら送迎バスのシートに自作のチャイルドベルトを作ったという例もある。園長の心意気、こどもを守りたいという気持ち、そして行動力には敬意を表したい。でも、「チャイルドシートは安全装置なので、単にベルトがかかっていればいいというものではない。ベルトを固定する装置をハンダ付けしただけでは、いざというときにこどもを守り切れないし、逆に装置が壊れてこどもが怪我をする危険性もあるのでお勧めできない」というのが、私の回答だ。アメリカではスクールバスを走らせている。彼らはどう対応しているかというと、シートベルトではなく、頭部や胸部があたる部分にクッション性のある素材を使って衝撃を吸収しようとしている。国交省のデータを見ても、車内のこどもの受傷部位は頭部、胸部が圧倒的に多い。ならばこれらが当たるシートバックの裏側とか、窓枠を、衝撃吸収素材にしてあげれば怪我をしにくくなるというわけだ。◆こどもの未来を守るために最近では、よちよち歩きのこどもが倒れたときに後頭部を守るため、リュック型になっている頭部保護クッション(ミツバチや天使やたぬきの形状になっている)に人気があるらしいけれど、送迎バスも、そんなかわいらしいアイディアを採用して、難燃性の布地で作った大きなぬいぐるみを抱かせてあげるなど、こどもならではの対応ができるといいのに。そういうのって、どうなんだろう? 難燃性の布は、ごわごわで、顔に擦り傷つくっちゃうんだろうか。それを言ったら、エアバッグだって擦り傷程度ではすまないくらい、すさまじい衝撃なのだ。頭がい骨骨折や頚髄損傷よりは、擦り傷だと思うな。ここはひとつ、布地メーカーさまにヒット商品、いや、こどもの未来を守るためのアイディアグッズを開発していただきたいものである。岩貞るみこ|モータージャーナリスト/作家イタリア在住経験があり、グローバルなユーザー視点から行政に対し積極的に発言を行っている。主にコンパクトカーを中心に取材するほか、最近は ノンフィクション作家として子供たちに命の尊さを伝える活動を行っている。レスポンスでは、アラフィー女性ユーザー視点でのインプレを執筆。9月よりコラム『岩貞るみこの人道車医』を連載。