ファルケンは国内よりヨーロッパでのプレゼンスが高いタイヤだ。ニュルブルクリンク24時間レースをはじめとする、競技タイヤやハイパフォーマンスタイヤ、ランフラットタイヤで定評がある。レッドブル エアレースのスポンサーとして室屋選手の機体ロゴでもなじみがあるだろう。そのファルケンのフラッグシップモデルが『アゼニス FK510』だ。ファルケンはドイツでは各種自動車専門誌のタイヤレビューやランキングで上位に入る実力をもっている。昨年の「Auto Bild誌」では、52銘柄の比較テストにおいて総合2位を獲得した。2位は3銘柄が獲得しているが、その中でもドライとウェット性能のバランス、とくにウェット性能の高さ、乗り心地、コストパフォーマンスのポイントが高い。開発陣がこだわったのは、高速安定性とウェット性能だという。高速安定性については、直進やブレーキングだけでなくコーナリング特性も考え、非対称パターンとタイヤプロファイルを最適化。トレッドパターンを非対称とすることで、走行時、加速時、減速時、レーンチェンジやコーナリングでの、ブロックの役割を分担させる。加えて、プロファイルの最適化によって、タイヤにどのような力がかかっても接地面が最大化するようになっている。ウェット性能については、大胆なリブ(回転方向の溝)を配置し、排水性を高めた。FK510の設計は主に日本で行われ、型も国内で作っているが、EU、北米で入念なテストを繰り返し、グローバルで通用する性能に仕上げているという。今回試乗したのは、ポルシェ『マカン』(F:235/60R18 R:255/55R18)、メルセデスベンツ『C180』(F:245/40ZR18 R:265/35ZR18)、フォルクスワーゲン『ゴルフR』(225/40ZR18)の3台。コースは高速道路を含む一般道だった。まず感じたのは4輪の接地感の高さだ。試乗車のうち2台が4WDということもありそうだが、一般道特有のうねった舗装でもサスの動きにあわせて路面をグリップしている感覚がある。レーンチェンジではタイヤが吸い付くような感覚で、すぐに横Gが発生する。高速道路の入り口などにありがちな、奥でRがきつくなるような複合コーナーも、フロントがしっかりグリップしている安心感があり、切り足しや修正がいつでもできる。ステアリングの応答性は、ギア比が上がった感覚というのだろうか。ちょっとした操作がすぐに効いてくる。遊びが少なくなる状態だ。人によっては反応がシャープすぎると感じるかもしれないが、ハイパフォーマンスタイヤを装着するような人にはちょうどよいかもしれない。乗り心地は、やはりマカンがいちばんよかったが、静粛性については、C180の良さが際立った。ゴルフRについては排気音が十分楽しめるほどタイヤのロードノイズは抑えられていた。これもクルマの特性とタイヤサイズの違いに左右されるからだが、マカンは高速走行での「サー」という高域ノイズがちょっと高かった。C180は若干橋の継ぎ目の突き上げ音があるものの、ノイズ全体が低音に抑えられていた。
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