カーオーディオの音をもっと良くしたいと考えている方々に向けて、「スピーカー交換」をおすすめする短期集中連載をお贈りしている。今回からは、国産メーカーのラインナップを検証しながら、市販スピーカーの状況をより具体的に解説していく。■価格的にはミドルグレードながら取り付けのしやすい、エントリーユーザー向けのスピーカー、『Reference AMシリーズ』。今回、具体例として取り上げるのは、国産ハイエンドカーオーディオブランドである「ビーウィズ」だ。同社は、マニア垂涎のハイグレードユニットを多々擁しているが、エントリーユーザー向けのスピーカーもしっかりと用意している。まずは、それがどのような製品なのかを紹介していこう。「ビーウィズ」がエントリーユーザー向けに用意している最新スピーカーとは、『Reference AMシリーズ』である。当シリーズは、ツィーター、ミッドレンジ、ミッドウーファー、そしてパッシブクロスオーバーネットワークそれぞれが単品で用意でされ、さらにそれらが組み合わされたコンポーネントスピーカーも3タイプがラインナップされている。2ウェイコンポーネントスピーカーが2タイプ、3ウェイコンポーネントスピーカーが1タイプという内訳だ。ツィーターとミッドウーファーからなる2ウェイコンポーネントスピーカーが『Reference AM Duo 165』(税抜価格:9万9000円)、ツィーターとミッドレンジからなる2ウェイコンポーネントスピーカーが『Reference AM Duo 88』(税抜価格:8万4000円)、そして3ウェイコンポーネントスピーカーが『Reference AM Trio』(税抜価格:14万8000円)という構成となっている。価格的にはエントリーグレードというよりむしろ、ミドルグレードの範疇に入っているが、当機がエントリーユーザー向けの製品であるその理由は、使い勝手が重視されているから、だ。つまりは、取り付け性が高いのである。大きな加工を前提とせずに取り付けられることを目指して、各所が設計されているのである。■8.8cmミッドレンジスピーカーがあることもポイント。特にプレミアムカーオーナーに朗報!では、どこをもって取り付け性が高いというのか、具体的に説明していこう。まずはツィーターから。ツィーターにおいてはポイントが2点ある。1点目は、小型であるので純正位置に収めやすいこと。2点目は、脱着式アングルアタッチメントが同梱されているので、ダッシュボードの上にポンと置くようなインストールスタイルも取れること。以上だ。16.5cmのミッドウーファーにおいては、取り付け奥行き寸法が短いことがポイントだ。その長さは“69mm”。強力で精密なフレーム&磁気回路を備えつつも、“70mm”以下に抑えたあたりは、“取り付け性”にこだわった結果と言っていい。8.8cmミッドレンジについては、これが用意されていること自体が、取り付け性の良さを考えたことの成果と言える。3ウェイを組むためのもの、というよりむしろ、純正スピーカーが小口径タイプのクルマに向けた“ミッドウーファー”という性格が強い。最新のプレミアムカー(人気の高い欧州車等)の中には、純正ミッドウーファーが7cmから9cm程度の車種が多い。そういったクルマに簡単装着できるようなサイズで仕上げられている。ちなみに、最近の市販スピーカーを見ると、小口径ミッドウーファーのラインナップが少なめだ。であるので、プレミアムカーのオーナーはこれまで、「スピーカー交換」をしようとしたとき、選択肢が案外少なかった。しかし今では「ビーウィズ」の『Reference AMシリーズ』という強力な候補が加わった。そして、『Reference AMシリーズ』では、パッシブクロスオーバーネットワークの小型化も図られている。ここも取り付け性の高いスピーカーと言えるポイントの1つとなっている。■トップエンドモデルは『Confidence lllシリーズ』!さらに、「ビーウィズ」のトップエンドモデルについても紹介しておこう。トップエンドシリーズの名称は、『Confidence(コンフィデンス) lllシリーズ』だ。スピーカーユニットは3タイプが用意されていて、ツィーターが10cm、ミッドウーファーが13cm、そしてサブウーファーが18cm。なお、振動板にはすべて、同社独自の“偏芯コーン”が採用されている。“偏芯コーン”とはその名のとおり、中心がオフセットされた構造である。この構造によりユーザーは、車載時の指向性制御がしやすくなる、というメリットを得られる。またこれら3ユニットは、“偏芯コーン”以外の構造も、さらには素材、磁気回路も同一だ。これにより、セパレートスピーカーシステムでありながらも、各ユニット間の音色の統一が図られていて、繋がりの良さも発揮される。ところで、ミッドウーファーが一般的な17cmタイプではなく、より口径の小さな13cmタイプとなっているのは、エンクロージャーを製作し、それにスピーカーを搭載してドア内部に埋め込むことが前提となっているからだ。エンクロージャーに組み込んでインストールすると、スピーカーの性能を引き出しやすくなる。スピーカーを“コントロール下”に置けるからだ。そしてエンクロージャー化するならば、スピーカーユニットは小口径のほうが有利となる。エンクロージャーの容量が少なくてすむからだ。というわけで『Confidence lllシリーズ』では、ミッドウーファーが13cmタイプとなっているのだ。ただし、エンクロージャー化しようとすると、製作の手間は増える。そこがハードルとはなるのだが、それを乗り越えられると、より理想的なサウンドを得やすくなる。なお、『Confidence lllシリーズ』の2ウェイコンポーネントスピーカーは、税抜価格が52万円。最初の「スピーカー交換」のターゲットとしては少々敷居が高いが、いつかは挑戦してみたい銘品であることは確かだ。いかがだったろうか。駆け足ながら、「ビーウィズ」スピーカーの特長をざっと説明させていただいた。「ビーウィズ」は個性の強いブランドであるが、そこが評価され多くのファンに支持されている。「スピーカー交換」をしようと思ったら、「ビーウィズ」の『Reference AMシリーズ』も、お忘れなきように。