小学生が「探偵団」となり、首都高速道路の秘密を探った。26日、「首都高講座子ども未来プロジェクト『首都高子ども探偵団~首都高の秘密を探ろう~』」が開催され、普段は見られない首都高施設を見学し、社員とふれあった。 参加したのは小学校5~6年生とその保護者21組42名。イベント主催は首都高速道路と首都高速道路協会。企画の主旨は「首都高を身近に感じる体験を通じ、社会の仕組みを学び、職業観を広げていくことをサポートする社会貢献活動」というもの。子どもたちが首都高の秘密を探ることで、首都高やそこで働く社員をより身近に感じ、自身の将来を描くきっかけとなる時間を提供した。子どもたちにはどこに行くのかは当日まで明かさない、シークレットツアー形式。箱崎の首都高速道路東京東局に集合、都内3か所の施設をバスで巡った。どの施設も一般には公開されていない。子供達には「探偵手帳」が渡され、「首都高こども探偵団見習い」となり、手帳に書いてある司令文の空欄を見学しながら埋めて行く。最初は箱崎の首都高交通管制室および災害対策室を見学、首都高の概要を合わせて知る。首都高では1日何台の車が走っているか? 首都高はどれぐらいの長さか? 交通管制用カメラは何台設置されているか? 最後の質問の答えは2359台。トンネル内で見えないところはほぼないが、表では1kmあたり1台が設置されているそうだ。つぎに駐車場で道路パトロールカー(黄パト)や警視庁のパトロールカーを見学。道路パトロールカーは昼間32台、夜間25台が首都高をパトロールしており、1台は1回のパトロールで約120kmを走る。パトロールは1日5回なので1日の走行距離は600km、1年では22万kmになる。そのためパトロールカーには頑丈なトヨタ『ランドクルーザー』が採用され、各地の道路事業者の中では高級な車種だ。走行30万kmが“替え時”だそうだが、最近は修理を重ねて40万km以上乗っており、50万km走ればさすがにすぐ更新対象になるという。それでも2年前後の激務だ。箱崎からバスに乗って、大井埠頭の東京港トンネル換気施設へ向かう。湾岸線東行き大井料金所から入ってすぐ、本線に乗らず左側の管理用道路に入った先だ。建物の階段を降りて地下の管理通路をしばらく歩き、扉を抜けると上下線の間の分離帯に出た。普通に生活していたらまず来られないところだ。東京港トンネルの管理通路は上下線の間に設けられている。きびすを返して今度は換気設備を見る。送風機といっても大きな円柱が3本並んでいるだけだ。大迫力、と言いたいところだが最近はめったに動かないという。開通以来、自動車の排ガス浄化が進み、今では車の走行に伴って発生する風で充分換気できるという。それでもいつでも動かせるようにメンテは怠っていない。管理用道路を戻り、湾岸線西行き大井料金所から出る。高速道路走行距離はゼロだが、ETCの音声は900円(ホンダ『ステップワゴン』)を告げた。首都高は年末年始の休みに入る前に、用務でたいへん混雑するが、今日の移動はどこもスムーズだった。続いて芝浦埠頭にある、レインボーブリッジの“最重要構造部”に向かう。ケーブルを地上につなぎとめるアンカレイジの内部だ。レインボーブリッジのケーブルは、直径5.37mmの素線を127本束ねて「ストランド」という束にまとめ、そのストランドをさらに127本まとめてケーブルにしている。アンカレイジの内ではストランドがコンクリートに接続されているのを見ることができる。なおアンカレイジ内部は撮影禁止。数年前までは可能だったが、近年は厳しくなった。もちろん関係者以外の立ち入りも禁止だ。探偵団見習いのミッションはこれで終了。首都高の秘密を知った子ども達は首都高について親しみと興味を増したようだ。修了証がひとりひとりに手渡され、探偵団メンバーとなった。