カーオーディオライフをさらに充実したものにしていただくべく、製品選びの“傾向と対策”を紹介している当コーナー。現在は「パワーアンプ」について検証している。今週は前回に引き続いて、「パアーアンプ」に搭載されている「クロスオーバー」機能について考えていく。前回、「パワーアンプ」に搭載されている「クロスオーバー」には2タイプがあり、1つが“クロスポイント”の選択範囲が狭いタイプで、もう1つが“クロスポイント”の選択範囲が広いタイプだと説明した。そして前者の使い方も解説した。今週は、後者について説明しながら、これが搭載されている機種の強みを紹介していく。さて、“クロスポイント”の選択範囲が広いタイプというと、その範囲は数値でいうと例えば、15Hzから5kHzくらい、というような感じになっている。つまり、フロントスピーカーとサブウーファー間のみならず、ツィーターとミッドウーファー間の「クロスオーバー」としても使えるのだ。具体的には以下のような使い方が可能となる。4chパワーアンプを1台用意し、フロントchをツィーターにあてがい、例えば“クロスポイント”を4kHzに設定し“ハイパス”をかける(4kHzより上の信号だけをツィーターに送り込む)。リアchはミッドウーファーにあてがい、“クロスポイント”を4kHzに設定して“ローパス”をかける(4kHzよりも低い音だけをミッドウーファーに送り込む)、という鳴らし方もできるのだ。つまり、4chアンプの1chずつを1つのスピーカーユニットにあてがうという“マルチアンプシステム”を、プロセッサーを用いずに完成させることが可能となる、というわけだ。このようにすると、2chで計4つのスピーカー(右側のツィーターとミッドウーファー、左側のツィーターとミッドウーファー)を鳴らす時に比べて、パワーアンプを贅沢に使うこととなるので、結果、さらなる高音質が得られやすくなる。もしも、プロセッサーを使わずに“マルチアンプシステム”を組んでみたいと思ったら、選ぶべきパワーアンプは、“クロスポイント”の選択範囲の広い「クロスオーバー」を搭載したパワーアンプ、となるのである。なお、“ハイパス”、“ローパス”に加えて、“バンドパス”も選択できるタイプであったなら、楽しみ方の幅はさらに広がる。“バンドパス”とは、信号の上側と下側の両方をカットできるフィルター、である。つまり、フロント3ウェイのスコーカーを“マルチアンプシステム”で鳴らすことが可能となる。または、ミッドウーファーに対して、ツィーターとの「クロスオーバー」とサブウーファーとの「クロスオーバー」を同時に掛けることも可能となる。プロセッサーを用いずに、高度なシステム運用をしたいとなったら、“バンドパス”が可能か否かも、要チェック。今週はここまでとさせていただく。次週も「パワーアンプ」選びの“傾向と対策”の解説を続行する。お楽しみに。