【インタビュー】マツダが整備士養成学の教職員向けセミナーを開催する理由とは? | CAR CARE PLUS

【インタビュー】マツダが整備士養成学の教職員向けセミナーを開催する理由とは?

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マツダ SKYACTIV 技術セミナー
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マツダは整備士養成学校の教職員を対象にした「SKYACTIV技術セミナー」を毎年8月に開催している。セミナーを担当するマツダ国内営業本部の引野真佐志主幹は「マツダ販売会社の採用活動を支援する一環で、マツダを知ってもらうことが目的」と語る。

---:セミナーは今年で7回めとなりますが、まずはセミナーを始めたきっかけからお聞かせください。

引野氏(以下:敬称略):マツダの国内営業本部では、販売会社の採用活動を支援する取り組みも行っており、学生さんにはマツダブランド、とくにクルマ造りであったり、企業風土に共感してもらうことでマツダを選んで頂きたいという思いがある。

ところがSKYACTIV技術セミナーを始めた2011年当時、マツダには学校とのつながりがあまり強くないという課題があった。まずはそこから始めたい、学校の先生方とマツダとのつながりを造りたいということがSKYACTIV技術セミナーをスタートしたきっかけ。

SKYACTIV技術セミナーは、まずは先生方にマツダの最新技術を知ってもらって、それを学校に持ち帰って頂いて、学生さんにもマツダの最新技術を伝えてもらうことで、学校自体の知見を拡げてもらうことを目指している。

---:セミナーはどのような形で行われていますか

引野:広島、大阪、そして横浜の3か所で5回にわけてセミナーを開催し、1回あたり20名程度の参加で、合計で100名前後が受講している。講義の内容としては第1回目はSKYACTIV技術全般に関する座学で、49校から81名の方に参加して頂いた。2回目はSKYACTIV-Dの座学、3回目はi-ACTIVSENSEの座学、4回目はSKYACTIV-G、DとHVの座学、5回目はSKYACTIV-D1.5と人馬一体の座学、6回目の昨年がG-ベクタリングコントロールとデザインの座学といった具合に毎回テーマを変えて実施してきている。

---:前回まで座学のみだったセミナーが、今回から新型『CX-5』を使った整備実習も取り入れたそうですね。

引野:去年アンケートをとったところ先生方からは、もっと実践的な勉強がしたい、クルマに触れる講座をやってほしいという声が多く寄せられたことから、7年目の今回は新しい試みとして実車を用意して先生方と一緒に整備の実習するセッションを設けた。

前回までは午前中だけで座学を終えていたが、今回はまず午前の部でSKYACTIV-Dエンジンに関する技術概要説明のち、整備ブースに移動してCX-5を使って燃料噴射やDPFの作動状況の確認作業、インジェクターカバーの取り付け実習を体験してもらった。

午後からは再び座学によるi-ACTIVSENSEの概要説明の後、i-ACTIVSENSE用カメラの光軸を診断する装置を使った調整作業などの整備実習を行った。

---:セミナー参加者の顔触れは

引野:いろんなポジションの方に参加頂いていて、講師の方を始め、教務主任など管理職の方、学校長に参加頂いた回もあった。

---:参加者の感想は

引野:先生方からはクルマ造りの理解が深まった、メーカーと販売会社の一体感を感じることができたというコメントを頂いている。

---:学校との接点づくりがセミナーを始めたきっかけということですが、成果は

引野:セミナーの開催をきっかけに学校との関係が強くなり、いろいろなことを我々がさせて頂けるようになった。例えば学生向けセミナー、学校へ我々メーカーの人間と地元の販売会社のスタッフと一緒にお邪魔して、2時間から3時間の出張授業を行っている。

出張授業では2つのことをやっていて、マツダってこういう会社だよ、整備士の仕事はこういう仕事だよということを伝えるようにしている。マツダに関しては我々が、整備士のことは販売会社が受け持って、とくに1年生を対象に実施している。北海道から沖縄まで年間100校以上を訪問して出張授業を行っている。非常に手ごたえを感じている。

---:SKYACTIV技術セミナーを通じて養成校とのつながりもでき、成果を上げてきたのであれば、今後は学生によりフォーカスした活動に注力する方が効果的では

引野:両方必要と考えている。整備職は特殊で、営業職のように学生が自由に企業を訪問して就活するスタイルではなく、学校の先生に就職先を紹介してもらうという色合いがまだかなり強い。そういうこともあって、まずは先生方に『マツダって良いよ』と思って頂かないと、なかなか学生を紹介してもらえない。これはマツダだけではなく、各メーカーも学校の先生方といろんなアプローチをしたり、つながり造りをしているので、我々もマツダの存在感を先生に対してもアピールし続ける必要がある。

---:セミナーを通じて学校とのつながりが深まっているということですが、販売会社のメカニック採用という面での成果は

引野:昨年までの2年間は採用計画数を達成しているので、我々のやっている活動は先生方に届いていると思っている。一方で、今年から厳しいエリアも出始めている。来年以降は、さらに厳しくなっていくとみている。それは18歳以下の人口がこれからどんどん減っていくし、若者のクルマ離れの傾向も強まっているからで、各社で人材の取り合いになる。しかも自動車だけでなく重機や部品など他業種も同じ状況なので、さらに厳しくなっていくと思っている。

---:セミナーや出張授業を開催する狙いにはマツダの企業風土も知ってもらうこともありますが、実際に採用された方々の定着率はどうですか

引野:我々も販売会社に入社してからの定着率を高めたいと思っている。実際、整備職の場合、マツダに限らず業界全体で5年以内に3~4割の人が他社にいったり、全く異なる業種に就いている。特に都市部は就職先がたくさんあるので、その傾向が強い。

このため、入社してから安心して生き生きと働いてもらえるよう、しかも離職を減らしていくためにも、店舗の環境整備、働き方の改革が必要と感じている。

---セミナーを今後も継続していく上での課題は

引野:今の活動を今後も続けていこうと思っているが、これから子供の数が減るということもあり、整備士養成校自体が生徒集めに苦労しているので、養成校のお役に立てるようなサポートを我々と販売会社が一緒になってやっていかないといけないと考えている。

マツダが整備士養成学の教職員向けセミナーを開催する理由【インタビュー】

《小松哲也》

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