GLMが6月28日より開催した「人とくるまのテクノロジー展 名古屋 2017」(会場:ポートメッセなごや)において、帝人製のPC(ポリカーボネート)フロントウインドウを搭載した電気自動車(EV)『トミーカイラZZ』の試作車を発表。開発したメリットと今後などについて話を担当者に伺った。トミーカイラZZは、1997年に数量限定で発売した伝説的なスポーツカーを“スポーツEV”として復活させたもので、2016年3月より量産化をスタート。一方で、この事業を手掛けているGLMは、京都大学内の初のベンチャー企業として認定された法人として、EVプラットフォームを提供するサプライヤーとしても知られる。この5月にはその事業の下、旭化成とのコラボによる次世代EVのコンセプトカー『AKXY』を公開したばかりだ。GLMが出展した場所は、企画展が行われた第2展示館の一番奥。会場に行くと真っ赤なトミーカイラZZがすぐに目に入ってきた。でも、フロントウインドウ周りには何となくすっきり感が。そう、このクルマには既にPC製フロントウインドウが実装されており、それが従来とは異なった印象を与えていたのだ。会場では、元トヨタの車体設計を担当した経験を持つ、GLMの藤墳裕次技術本部長にお話を伺った。今回の企画のきっかけから伺った。「トミーカイラZZは常に先取りを意識し、新しいことを積極的に取り組んで行くことに意味があるクルマ。帝人さんよりお話しをいただき、これまでにもいろんなアイディアを出して来た中の一つとして採用し完成させた。この企画は世界初のことであり、会場での反響も大きいことに驚いている」(藤墳氏)と話した。ポリカーボネート製ウインドウは、ピラーレス化が大きなポイントとなっているが、実はこれが悩みでもあったと藤墳氏は話す。「ピラーレスとするに当たって、ウインドウの形状や厚みをどうするかずいぶん試行錯誤した。薄ければ振動も発生しやすくなるし、厚すぎれば妙に存在感が出すぎてしまう。悩みながら何回もやり直しした」という。ポリカーボネート製でAピラーがないのでは安全面に不安はないのだろうか。「実はAピラーが全くないわけではない。よく見るとフロントウインドウの両サイドにAピラーが立っている。これはひっくり返ったときの乗員保護が出来るぐらいの強度を確保したもの。後方のロールバーと合わせることで乗員保護対策はきちんとできている」(藤墳氏)この仕様はトミーカイラZZの標準仕様となるのだろうか。「オプションとして用意される予定。価格は未定。7月以降、保安基準の認可が取れ次第、秋ぐらいまでには販売できるようにしたい」(藤墳氏)と話し、その準備はきちんと整っていることを明かした。