旭化成は「人とくるまのテクノロジー展2017」に先日発表した電気自動車(EV)のコンセプトカー『AKXY(アクシー)』を披露した。これは京都大学発のEVベンチャー、GLM(本社・京都市)の車体をベースに共同でつくり上げたものだ。「この車には旭化成の製品が27品目使われ、旭化成の技術と素材をふんだんに詰め込みました」と同社オートモーティブ事業の関係者。例えば、ボディー用塗料には「デュラネート」や「旭化成アルミペースト」、タイヤには溶液重合型スチレンブタジエンゴムの「タフデン」、Aピラーにはスチレン系熱可塑性エラストマーの「タフテック」、シートには3次元立体編物の「フュージョン」、バッテリーにはセパレーターの「ハイボア」といった具合で、その多くが独自に開発したものだという。「そのほか、うちはエレクトロニクス事業もやっているので、センサー類も強く、この車ではシートに座っただけで脈拍がわかり、また車内の空気の状態もわかります」と前出の関係者は熱心に説明する。それにしても、化学会社である旭化成がなぜ車をつくったのか。そこにはこんな事情がある。旭化成は昨年4月、新中期経営計画「Cs for Tomorrow2018」を策定し、「成長・収益性の追求」「新事業の創出」「グローバル展開の加速」を基本戦略に掲げた。そして、オートモーティブ事業推進室を新設し、ドイツ・デュッセルドルフ市に旭化成ヨーロッパを設置して欧州を中心とする自動車関連メーカーへのマーケティング体制を強化した。そこで、自社の高機能製品を売り込むための“切り込み役”としてアクシーを製作したわけだ。しかも、このアクシーは見た人により現実味を持って感じてもらえるように、走行可能な「走るコンセプトカー」となっている。「自動車関連事業は当社の中で重要分野と位置づけており、現在1000億円の売り上げを2025年度には3倍の3000億円にする目標を立てています。この車には大いに期待しています」と前出の関係者。旭化成のブースでは、この車を一目見ようと来場者が次から次へと訪れていた。
寒風吹きすさぶ自動車各社、日産は北米の従業員6%が希望退職、フォードは欧州で4000人削減[新聞ウォッチ] 2024.11.22 Fri 13:48 寒さが身に染みる季節の師走もまじかに迫っているが、世界の自…