自動車関連のベストサービスを読者投票で選ぶ「レスポンスアワード2017」の自動車買い取りサービスの部・総合満足度部門で、カーセブンディベロプメントが最優秀賞を受賞した。井上貴之 代表取締役社長は、さらなる顧客満足(CS)向上に取り組む考えを示した。◆業界に先駆け、CS向上に注力----:今回の調査において、買い取り事業者の中での顧客満足度が最も高いという結果が出ましたが、どのように受け止めていらっしゃいますか。井上貴之社長(以下敬称略):フランチャイズチェーン(FC)を始めて18年経ちますが、この間はFCとしての商品力であるとか競争力を重視してやってきました。しかし、インターネットがこれだけ発達して、お客様の声というものが他の消費者の方々にシェアされる時代になり、お客様の満足で他のお客様をご紹介いただくとか、お客様にカーセブンをご評価いただくということは、営業戦略上極めて重要となっています。そこで、カーセブン全体のCSに真剣に取り組もうということで専門の部門を立ち上げて改革を進めているところです。そうした中で受賞できたことは非常にうれしく思います。----:中古車買い取りには様々な業者が参入していますが、カーセブンはどのように差別化を図っていますか。井上:買い取りビジネスを展開している企業のほとんどが差別化戦略をとってきていません。経営者も営業現場の方々も結局、買い取り金額とどうやってお客様を説得するかということに注力しています。一方で、お客様は1万円でも高く売りたいが、営業員は逆に1万円でも安く買いたい。また営業員はキャンセルしないでくれと常にいうが、お客様は事情が変わればキャンセルしたくなるかもしれない。だからお客様の利益と営業員の利益が相反しやすいのです。そうした状況の中でCSを高めることは非常に難しい。しかし、我々は差別化の要素として、お客様が安心して車をカーセブンに売っていただくための「安心宣言」を掲げ、2015年に全店舗で完全実施しています。◆カーセブンを選んでもらうための「安心宣言」とは----:その「安心宣言」とは、どういった内容のものでしょうか。井上:まず、車を買い取らせていただく時に、お客様が売却をキャンセルできる期間を7日間にしました。業界の統一基準では車両をお預かりしてから翌日までですが、カーセブンは7日以内であれば自由にキャンセルできます。また支払代金に関しても業界統一基準では車両と書類をお預かりしてから3日以内となっていますが、我々は契約したその日に代金の一部(契約金額の10%、上限5万円)を振り込むことも行っています。さらに万が一、査定ミスや隠れた傷があったとしても、我々は減額する交渉を一切放棄することも表明しています。この3点を我々は差別化の要素として「安心宣言」と銘打って展開しています。----:「安心宣言」は、確かにお客様サイドに立った内容ですが、FC店のオーナーからすると負担を伴うだけに、導入に際しては抵抗もあったのではないでしょうか。井上:業績の良いFC加盟店であればあるほど導入を反対しました。今までのやり方で十分利益が出ているのに、なぜ余計なことをするのかという具合に。ところが買い取りビジネスは一括査定サイトが発達したことで、他社と競合する前提で商売が進んでいます。このため他とは異なる内容のサービスを出していかないと疲弊してしまうのです。しかも、お客様には、どこに売却するか選択する権利があります。そのため、お客様に寄り添った商談のトークをしてもらうことはすごく重要だと思います。この「安心宣言」も発案してから全店で実施するまでに2年かかったものの、想定外の好影響がでています。もともと我々は「契約金額が同じであればカーセブンに売るよ」と仰ってもらうことを目指し「安心宣言」を導入しましたが、競合他社よりも契約金額が安くてもカーセブンに売却してくれるというケースが増えていますね。----:「安心宣言」の効果がでている中で、さらなるCS向上を目指し専門部署を立ち上げた背景は。井上:これまではお客様とのコミュニケーションは店舗に任せるべきという姿勢をとっていました。しかしお客様のブランドに対する評価がシェアできる、されてしまう時代になり、その部分に本部がズバッと手を入れていかないと勝てない、という考えに改めました。例えばカーセブンと接点を持ったお客様からお叱りを受けたら、それはチェーン全体で対応していく。また営業員のトークが徹底的にお客様寄りになるような商品設計、それにまつわる教育、研修も徹底的にやっていく、ということです。◆業界の問題を、事業者自身が是正----:井上社長から観た中古車買い取りビジネスの問題点、課題はどのようなものでしょうか。井上:日本自動車購入協会(JPUC)の調査員が、ホームページを通じて査定依頼しその当日は電話に出ないでいると業者から電話が何回かかってくるか、をモニタリングしたところ、最大で29回もかけてきたケースがありました。こんなことしたらお客様は逃げてしまう。でもこれが営業だと思っている人もいるのです。また買い取り現場の素人化が進んでいるという現状もあります。そうなると約款を説明しない営業員が大量に発生し、気安くキャンセルできないとか、キャンセルするには手数料がかかりますと言っているケースも増えています。----:JPUCは井上社長が中心となって立ち上げた業界団体ですが、具体的な活動内容について教えてください。井上:JPUCは国と一緒になって自主規制をする団体として立ち上げました。というのも、特定商取引法の改正で、お客様のご自宅を訪問してモノを買うという『訪問購入』といわれる業態が国の規制の対象になったからです。そのきっかけが自動車だった。それくらい国民生活センターに寄せられる被害相談が多かったということです。ただ特定商取引法自体がもともと貴金属の訪問販売を対象とした法律だったので、車買い取りが同法の対象になっても、実態にそぐわない部分があったのです。そこで買い取り事業者や一括査定媒体会社らで構成するJPUCを立ち上げ、自主規制のルールを作りました。買い取り事業者がそれに従わなければイエローカードで警告し、それでも改善しなければレッドカードを出して、一括査定媒体側がその事業者との取引を停止するという仕組みです。一方、媒体事業者に対しても広告のルールを造り、それに従わなければ逆に買い取り事業者がその媒体との取引を止めるという、相互に牽制機能を持たせています。◆ブランド認知向上で、ネット依存比率の低減目指す----:カーセブンの方に話を戻しますが、今後の店舗展開はどのような予定でしょうか。井上:現在、130店舗を展開していますが、これを5年以内に300店舗にまで増やしていきたい。それぞれのFC店舗の経営力、収益力を高めていくには、やはり一括査定媒体などインターネットの依存比率をいかに下げていくかということになります。カーセブンは業界平均より依存度が低いですが、それでも総買い取り台数の6割がネット経由です。媒体業者に支払う手数料も膨大で、これを逆転させないといけない。そのためにはブランドの認知度を上げていく必要があり、店舗数としても300は欲しいと考えています。----:FC店への支援や質向上で注力していることはありますか。井上:バックオフィス業務の統一化と合理化にも着手していきたいですね。これまで営業業務に関する仕組み造りや投資を行ってシステム化を進めてきましたが、バックオフィスに関しては各FCオーナーに任せていました。ところがバックオフィスが非効率であるために、営業員が営業活動に注力できないケースも実際にはあります。そこで書類管理から登録手続き、資金の支払なども含めて統一化と合理化を行っていきたいと考えています。カーセブンのホームページはこちら
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