富士通交通・道路データサービスと阪神高速道路は、商用車の走行データを活用した交通分析手法を確立したと発表した。両社は2015年3月から「交通ビッグデータの活用による社会価値創出に関する共同研究」を実施している。研究内容の1つである「道路利用者の安全・安心・快適性向上等に寄与するGPSデータ等を用いた交通分析手法」に関する研究で、商用車プローブデータの有用性の研究成果がまとまった。それによると、近年社会問題化している高速道路逆走に対して、逆走につながる「高速道路への進入間違い」を防止することが重要だが、プローブデータを分析することで、問題のある車両の挙動を抽出、把握する手法を開発した。高速道路入口案内の充実に向けた対策の着眼点を示すことが可能になったとしている。また、最適な情報提供のあり方を検討する目的として、文字情報板での表示内容や表示方法がドライバーに与える影響を把握するため、走行車両の挙動変化を分析した。プローブデータの活用により、高速道路本線上の文字情報板で注意喚起情報を表示した場合、通過直後に走行速度が低下する傾向が確認できた。この結果、文字情報板の情報提供による、走行安全性向上のため、着眼点を整理することができたとしている。さらに、工事回数削減と、工事自体の効率化を図るため、阪神高速では10日間程度の通行止めを伴う大規模補修工事を定期的に実施している。今後、こうした工事による交通影響を最小限にするため、過去の事例分析した。車両ID付の経路データを活用することで、大規模補修工事による交通影響を、これまでより面的、経時的に把握でき、出発時刻や到着時刻の変化などのこれまで把握が困難だった内容を把握できることを示せた。快適性と安全性の確保のため、阪神高速ではこれまで顕在化した自然渋滞発生箇所や、交通事故対策箇所で対策を実施してきた。快適性、安全性向上を目的とした潜在要因抽出のため、自由流における速度分布状況を把握し、その活用可能性に関する事例を分析した。1秒単位のドットデータを活用して短区間ごとの速度分布を分析することで、速度超過しやすい箇所や道路線形では説明できない速度低下箇所の抽出、速度抑制対策の効果把握が可能になったとしている。両社は今後引き続き、IoT、交通ビッグデータを活用した交通分析手法の研究を推進し、「交通ビッグデータの活用による社会価値創出」を進める。
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