ヤマト運輸と、北海道で路線バスを運行する名士バス、士別軌道、十勝バスは提携し、過疎化や高齢化が進む地域でのバス路線網維持と物流の効率化による地域住民の生活サービス向上を目的に、北海道の路線バス4路線で「客貨混載」を開始する。北海道では過疎地域の割合が約80%で、過疎化が顕著な地域となっている。こうした中、路線バスの乗員数も年々減少し、高齢者の移動手段となるバス路線網の維持が課題となっている。物流業界でもトラックドライバーの労働力人口減少による物流網の維持が課題となっている。こうした課題を解決するため、今年7月、北海道運輸局主導のもと、名士バス、士別軌道、十勝バスとヤマト運輸は「ひと・もの 協働輸送プロジェクト」を発足、道内の4路線で路線バスが荷物を輸送する「客貨混載」の実証実験を開始した。約2カ月間の実証実験を終え、本格的に「客貨混載」を開始する。4路線では、宅急便を積載するため、座席の一部を荷台スペースとして確保した路線バスが運行する。「客貨混載」とすることで、地域のバス路線網が維持され、安定的に路線バスを利用できる。ヤマト運輸のセールスドライバーが各地域(美深町・下川町・朝日町・陸別町)に滞在できる時間が増えるため、顧客の要望に対して柔軟に対応する。バス会社は、路線バスの空きスペースを使って宅急便を輸送することで、バス路線の生産性が向上し、バス路線網の維持につながる新たな収入源を確保できる。ヤマト運輸は、トラックの走行距離が1日約60km削減され、CO2排出量低減につながる。