14日、コンチネンタル・オートモーティブ・ジャパンは、千葉県内の旭テストコースにおいて、同社のADAS技術、最新の自動運転支援技術のデモンストレーションを行った。デモンストレーションプログラムは全部で7つ。いくつかを紹介しよう。まず、渋滞アシスト・レーンキープアシストのデモ。これは単眼カメラとロングレンジのミリ波レーダーを組み合わせて、車線や先行車両を認識し、アクセル、ブレーキ、ステアリングを制御するもの。レベル2の自動運転を実現する。8月に発表されたセレナのプロパイロットとほぼ同等なものだが、ステアリング操作の介入はレーンキープ程度の舵角にとどめられている。カメラとレーダーを併用することで、例えば車線が薄くなって認識できないときも、先行車両をカメラが認識していればそれを追従することで、レーンをキープできる。ただし、ステアリング操作をすべて任せていると、先行車両の蛇行などもトレースする(白線を認識してれば、白線を超えて追従することはない)。緊急ブレーキ(AEB)アシストのデモは、車の陰から飛び出す自転車を認識して緊急ブレーキで止まるというものだ。EuroNCAP2018の基準を満たすべく開発が進んでいるという。こちらも単眼カメラとミリ波レーダーを利用する。試乗デモでは、時速30キロメートルで走行中、停止している車の陰から時速5キロメートルの自転車(ダミー)が飛び出してくるという実験が行われた。ブレーキは最大1Gまで発生させることができる。デモ走行では、ドライバーがブレーキをかけずに突っ込むと、0.8Gでの強制ブレーキとなった。ベルトをしてつかまっていないと車内に体がぶつかってしまうほどのかなりの急ブレーキだ。AEB関連の技術では、遮蔽物のある交差点で、右からくる車両との出会いがしらの衝突を避けるというデモも行われた。こちらはミリ波レーダーを利用して左右方向からくる車両(物体)を検知し、ブレーキ操作が行われず危険と判断されたら自動ブレーキが作動する。レーダーは現在一般的な24GHz帯のものだが、将来的にはより高い解像度が得られる76GHzからの帯域のレーダーに切り替えていくという。自動パーキングのデモは、車内からのボタン操作ではなく、車から降りてスマートフォンで自動駐車をさせるというものだ。カメラは車両前後のエンブレム部分と左右ドラミラー下の計4か所に設置される。4つのカメラによりサラウンドビューを生成し、画像認識を行い、駐車可能なスペース(グリッド)を認識する。このとき、6つの超音波センサーも使い、グリッドの発見や近接センサーとして自動駐車をサポートしている。スマートフォンでは、自動駐車のアプリが動いており、サラウンドビューカメラの映像がグリッドとともに表示されている。駐車したいグリッドをタップすると、自動駐車がスタンバイとなる。画面のスタートボタンに触ると駐車シーケンスがスタートする。シーケンスはボタンに触れている間だけ行われ、指が離れると車は停止する。再びボタンに触ればシーケンスが継続される。デモでは、全員が車から降りて外から自動駐車される様子を見学した。テストコース内なので、完全に無人の状態でバックでの駐車、縦列駐車が行われた。他にも、ドラム式ブレーキの電動パーキングブレーキ、ハイブリッド車用の回生ブレーキと油圧ブレーキの切り替えを違和感なく制御する技術、自動運転中のドライバーのわき見を監視するシステム、荷重や溝の残量を計測できるタイヤといった技術のデモも行われた。コンチネンタルでは、これらのADAS技術を部品やコンポーネントごとに提供するだけでなく、レーダー、カメラ、自動ブレーキ、HMI、V2Xモジュールなどを任意に組み合わせて、多様な自動運転支援技術に対応できるという。各ADAS技術は、競合他社や完成車メーカーも同様なものを持っているが、各コンポーネントの統合力でOEMの要求に応え、市場での差別化を図っていく(コンチネンタル・ジャパン プレジデント クリストフ・ハゲドーン氏)。