ハイブリッド車の市場を切り開き、世界中にエコカー旋風を巻き起こした『プリウス』が次のステップに突入した。ハイブリッド車はエンジンをモーターでアシストすることによって低燃費を実現しているが、充電もできるようにしたプラグインハイブリッド車(PHV)が間もなく仲間に加わる。先代のプリウスにもPHVが用意されていたが、スペック的に物足りなかった。今度のプリウスPHVは、トヨタの本気度がクルマから感じられる出来映えだ。発売前のプロトタイプなので詳細は明らかにされていないが、リチウムイオンバッテリーの容量アップ(従来比役2倍)や昇圧コンバーターの出力アップなどによってEV走行距離を従来の26.4kmから60km以上まで延ばしている。ちなみにJC08モード燃費は37.0km/リットルが目標だ。現行のプリウスPHVより5.4km/リットルもいい。また、ハイブリッドシステムも微妙に異なる。力強いEV走行を実現するために、モーターとジェネレーター(発電機)、その両方を駆動に使えるデュアルモードドライブシステムを採用した。EV走行時は出力53kW(72ps)の主モーターと出力13kW(31ps)のジェネレーター、その両方を使えるようになったからパンチ力は鋭い。発売前のプロトタイプだからサーキットで試乗したが、先代のプリウスPHVより冴えた加速を見せつける。ターボなどの過給機と似たパワーとトルクの盛り上がりだが、電気はすぐに分厚いトルクが立ち上がるので気持ちよさは格別だ。プリウスと較べると、EVの領域は驚くほど広い。サーキットをほとんど電気だけで走れる実力を秘め、加速も冴えていた。EVモードで積極的にアクセルを踏み込んでもエンジンが始動することはほとんどなかった。ストレートでは130km/hあたりまで電気だけで頑張る。人間の感覚に遇わせた絶妙な制御により、体感加速はハイブリッドモードより鋭く感じたほど力強い。プリウスより応答レスポンスは鋭いように感じられる。滑らかさにも磨きがかけられた印象だ。洗練度を高めている。EV走行からエンジン走行に移るときも自然で、違和感がない。パンチ力はヨーロッパの一部のPHVに及ばないが、1.8リットルの2ZR-FXE型エンジンは街中を想定した走りで扱いやすく、静粛性も群を抜いて高かった。静粛性に関しては、ノーマルのプリウスの一歩上を行く。遮音対策などを徹底し、1クラス上の上質感を狙った。ボディ骨格のコンセプトを大きく変えた現行プリウスは、走りのポテンシャルを大きく高めている。プリウスPHVは、その素性の良さに大人っぽさが加わった。ハンドリングは自然で、操舵フィールも洗練されている。ショックアブソーバーとスプリングだけでなく、フロントのスタビライザーも径を太くした。ボディ剛性は一段と高くなったように感じられ、サーキットでもコントローラブルだ。アンダーステアは軽微で、狙ったラインに乗せやすい。ステアリングを握ったのは15インチタイヤを履くモデルだったが、リアの追従性が良く、意のままの走りを楽しむことができた。ロールも上手に抑えられているので、連続するコーナーを苦にしない。乗り心地もプリウスよりしなやかになったように感じる。魅力のひとつは、バッテリーの充電方法だ。単相200Vに加え、新たにEV用の急速充電器(CHAdeMO)を使えるようになった。EV走行距離は今までの2倍になったが、充電時間は1.5倍に抑制されている。それだけではない。時間はかかるが、一般的な家庭用のAC100V/6A電源から充電することも可能だ。また、世界初のソーラー充電システムも設定がある。価格次第だが、デザインも大きく変わった今度のプリウスPHVは大いに魅力的だ。■5つ星評価パッケージング:★★★★★インテリア/居住性:★★★★パワーソース:★★★★★フットワーク:★★★★オススメ度:★★★★片岡英明│モータージャーナリスト自動車専門誌の編集者を経てフリーのモータージャーナリストに。新車からクラシックカーまで、年代、ジャンルを問わず幅広く執筆を手掛け、EVや燃料電池自動車など、次世代の乗り物に関する造詣も深い。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員
プロお墨付き、DIY愛車磨き好きにオススメ! 京セラの最新18V充電式コードレスポリッシャー「BRSE-1800L1」 2024.2.6 Tue 14:00 愛車の洗車キズをDIYで磨いて消したいが、本格的な電動ポリッシ…