2014年にシトロエンから独立し、新たにプレミアムブランドとしてスタートを切った「DS」。その中核モデルの『DS 4』は2011年のデビュー当時、「世界でもっとも美しいクルマ」に選定されたグッド・ルッキング・カーの1台だ。そんなDS 4に2016年4月、世界的に大ブレーク中のコンパクトクロスオーバーモデル、『DS 4 クロスバック』が追加された。標準車との違いはSUVテイストあるバンパー、ホイールアーチ、そして車高、アイポイントを30mm高めたところ。しかしそれでも全高は153cmと、日本の立体駐車場への入庫は容易。駆動方式がFFのみであることから、都会で輝くクロスオーバーモデルとも言えるだろう。DS 4 クロスバックを試乗したのは箱根の山道中心だが、1.6リットルターボエンジンは2000回転台から有効なトルクを発揮して柔軟性と必要十分な動力性能を示し、高回転まで回すシーンでも快音を放つ好ユニット。6ATは国産ATほど洗練されてはいないものの、かといって不満もない変速を披露する。またパワステはリニアで扱いやすく、山道を爽(さわ)やかに軽快に走ることができる。乗り心地はクロスオーバーモデルになってもシトロエン流…ではなかった。サスペンションはストロークを抑えた、けっこう硬めのフラット感重視の設定で、悪路、段差を走破するとそれなりのショックを直接的に伝えてくる。よってしなやか、とは言い難い。荒れた路面を含む乗り心地にのみスポットを当てれば、『DS 3』『DS 5』が上という印象である。DS 4 クロスバックが得意とするのはむしろ良路の高速走行だろう。フラット感と動力性能のゆとりを生かしたクルージングで本領を発揮するはずである。後席、ラゲッジスペースはさすがにDS 3より広く、DS 5よりは狭い中間的なもの。具体的には身長172cmのドライバー基準で後席頭上に9.5cm、ひざ回りに12cm。ラゲッジスペースは幅104cm、奥行き82cm、トノカバー下高さ55cmと十分に実用的である。DS 4は5ドアハッチバックゆえ、DS 3にくらべ後席の乗降性に優れる、と思うのは当然だが、実際には乗降間口が狭く、なおかつリヤドアの後端が三角形で、乗降時にそれを避けて(刺さりそうなイメージ)乗降する姿勢を強要されるのが難点。これは実際にショールームで試していただきたい。■5つ星評価パッケージング:★★★インテリア/居住性:★★★パワーソース:★★★★フットワーク:★★★オススメ度:★★ペットフレンドリー度:★青山尚暉|モータージャーナリスト/ドックライフプロデューサー自動車専門誌の編集者を経て、フリーのモータージャーナリストに。自動車専門誌をはじめ、一般誌、ウェブサイト等に寄稿。自作測定器による1車30項目以上におよぶパッケージングデータは膨大。ペット(犬)、海外旅行関連の書籍、ウェブサイト、ペットとドライブ関連のテレビ番組、イベントも手がけ、犬との快適・安心自動車生活を提案するドッグライフプロデューサーの活動も行っている。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。ムック本「愛犬と乗るクルマ」(交通タイムス社刊)好評発売中。
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