警察庁は6月25日、75歳以上の高齢運転者を対象とした運転技能検査の合格者を追跡調査した結果を公表した。
運転技能検査の合格者は、検査対象ではない高齢運転者と比べて交通事故や交通違反が多く、現行の検査内容を充実させる必要があると判断した。今後、有識者検討会を設置し、2026年8月を目途に見直しの方向性をまとめる。
●運転技能検査
運転技能検査は、2022年5月から導入された制度だ。75歳以上で、過去3年間に信号無視や速度超過など一定の違反歴がある運転者が、運転免許更新時に受検する。検査では、一時停止や信号通過、右左折、段差乗り上げなどの課題を減点方式で評価する。
2025年中は対象者16万5756人のうち15万6513人が受検し、14万5935人が合格した。受検者ベースの合格率は93%だった。
警察庁は、2023年5月15日から8月31日までに運転技能検査に合格した5270人と、違反歴がなく高齢者講習の実車指導を受けた8233人を対象に、受検・受講後2年間の交通事故や交通違反の発生状況を比較した。
●交通事故件数
その結果、10万人当たりの交通事故件数は、75~79歳で1457件(高齢者講習受講者322件)、80~84歳で1284件(同557件)、85歳以上で2086件(同792件)となり、いずれの年代でも運転技能検査合格者が上回った。
●交通違反件数
交通違反件数も、75~79歳で1万6439件(同9432件)、80~84歳で1万4557件(同8593件)、85歳以上で1万6481件(同7376件)となり、全ての年代で運転技能検査合格者の方が多かった。
●検査時に減点されていた課題
また、交通事故を起こした運転技能検査合格者81人のうち、検査時に減点されていた課題は「一時停止」が32.1%で最も多く、「右折・左折」「段差乗り上げ」がそれぞれ13.6%で続いた。いっぽうで、50.6%は満点で合格していた。
●法令違反
運転技能検査合格者が起こした延べ83件の交通事故を法令違反別にみると、「安全運転義務違反」が63.9%で最多だった。このうち49.1%は安全不確認が原因で、安全不確認事故の88.4%は前方・左右の安全確認不足によるものだった。
警察庁は、運転技能検査の導入から約4年が経過した追跡調査の結果、「運転技能が低下して交通事故を起こしやすくなっている者が、運転技能検査に合格していることがうかがわれる」と分析。高齢運転者による交通事故のさらなる防止に向け、有識者検討会で運転技能検査の内容充実について検討を進めるとしている。


