チューニングの第一歩であり、気軽に交換しやすいエアクリーナーフィルター。エアクリーナーボックスごと交換する選択肢もあり、確実に効果があるチューニングとして人気を集めている。いくつかのタイプがあり、それぞれ利点や気をつけるべき点もある。
それが自分に適しているかをよく吟味してもらいたい。
1:純正交換エアクリーナーフィルター
まず、もっとも手軽なのがエアクリーナーフィルターをアフターパーツに交換するタイプ。純正のフィルターよりも吸入抵抗の少ないものに変えることで、パワーやアクセルレスポンスを高めようという狙い。実際、数馬力のパワーアップ効果があったり、アクセル操作に対するレスポンスが向上することも多い。
純正エアクリーナーフィルターも汚れたら交換式で、アフターパーツでも同様のことが多いが、洗浄して繰り返し使えるタイプもある。こちらのタイプは初期費用は掛かるが、そのあとは水洗いしてから乾燥させ、専用オイルを塗って繰り返し使用できるものもある。
いずれにせよわずかな効果ではあるが、出力アップやレスポンス向上が期待できるのがエアクリーナーフィルター交換だ。メリットとしてはデメリットがないことも挙げられる。このあとに出てくるエアクリーナーボックスを交換するタイプでは、多少のデメリットや気をつけるべき点がある。それに対してフィルター交換は安心して行えるチューンでもある。
2:エアクリーナーボックス交換タイプ
純正エアクリーナーボックスを撤去して代わりにエアクリーナーボックスを取り付けるタイプ。その中にもいくつか種類がある。まず、手軽なタイプがむき出しエアクリーナーにするタイプ。
キノコ状のエアクリーナーに付け替えることが多く、「キノコ」などとも呼ばれることが多い。純正エアクリーナーボックスに対して、太いパイプにしてその先にキノコ形状のエアクリーナーを取り付ける。半円形のエアクリーナーは広い表面積を持っていて、吸入効率をアップすることができる。同時にスロットルにつながるパイピングも太くなっていることが多く、ここでも抵抗を減らしてくれる。
抵抗が減るのでパワーやトルクアップも期待できるし、吸気音が大きくなる特徴もある。これは直接速さには関係ないが、排気音ではなくエンジンルームからの吸気音が高まることで、より加速時の気持ちよさが高まると言う人もいる。排気音量は増えないので近隣への騒音が気になる人にも適しているし、車検などの法的な問題もないので安心して取り付けることができる。
気をつけたいのが吸気温度への影響。国産チューニングパーツメーカーのむき出しエアクリーナータイプではほとんどないが、輸入物などで多いのがエンジンルーム内にむき出しエアクリーナーをどーんを置くタイプのもの。たしかに90年代くらいのチューニングブームではそういったレイアウトのチューニングカーは多かった。しかし、エンジンルームの熱い空気をエンジンに取り込むことはマイナスでしかない。とくにここ最近は吸気温度に応じてエンジンパワーを絞られる制御になっていて、吸気温度アップ=パワーダウンでしかない。
そこで少しでも冷たい外気を吸い込んだほうが有利。そのためにむき出しタイプのエアクリーナーにはダクトや隔壁を設けて、外気をダイレクトに取り込めるようにしたほうが良いのだ。
そんな吸入効率を高めつつ、吸気温度も抑えようという狙いで作られているのが置き換えタイプのエアクリーナーボックスだ。より容量が大きくたくさんの空気を効率よく吸い込めるように設計されたエアクリーナーボックスで、そこには外気から直接空気が流れ込むように設計されている。効率アップしつつ、吸気温度も抑えられるようになっている。価格的には20万円以上が多く、高価ではあるが高い効果を発揮してくれる。
◆車検を気にせず効果の高いチューニングがエアクリーナー
エアクリーナーボックスやエアクリーナーフィルターチューニングは、とくに車検に関する規定がない。そのためマフラーと違って気軽にチューニングできるメリットがある。しかし、ただ取り付けただけでは本来の性能を発揮できないこともある。
エアクリーナーボックスごと交換や、むき出しエアクリーナーにした場合、エアフロメーターから検出される吸入空気量がズレてしまうこともある。そこでエアクリーナーボックスに合わせたデータにECUデータを書き換えたほうが良い。
エアクリーナーボックスに合わせてECUデータ書き換えを行えばさらなるパワーが期待できるだけでなく、本来の性能を全域で発揮できる。チェックランプ点灯などの心配も減る。ぜひECUチューンとセットで考えたいメニューだ。