種子島初! 24時間いつでも借りられる「エブカ」レンタカー打ち上げの決め手は | CAR CARE PLUS

種子島初! 24時間いつでも借りられる「エブカ」レンタカー打ち上げの決め手は

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田中兄弟のうち、今回の主役は弟さんなのだが、この事業は副業につきとりあえず顔出しNGとのこと。小さく写る男性はお兄さん。
  • 田中兄弟のうち、今回の主役は弟さんなのだが、この事業は副業につきとりあえず顔出しNGとのこと。小さく写る男性はお兄さん。
  • 正式名称は「エブリタイムレンタカー」だが、webサイトでは「エブカ」推し!https://www.everytime-rentacar.com
  • JAXA種子島センター内にある「ロケットの丘展望所」からの打ち上げ射点風景。世界一美しい打ち上げ場といわれる所以だ。
  • JAXA種子島の広場に設置されたH2ロケット実物大のモニュメント。ぜひ現地で実際に見学頂き、その大きさを体感してほしい。
  • 2020年7月20日H2A「42号機」打ち上げ時。打ち上げは大成功!撮影場所は、車で散策して見つけた秘密の場所。
  • 中種子町と南種子町の境にある「千座の岩屋(ちくらのいわや)」。海食によってできた岩窟で、岩屋内部から望む海は必見。
  • 種子島宇宙センター一帯の竹崎海岸の夕日。近代的な宇宙センターと自然美との対照的な景観を見ることができる。
  • 種子島最南端に位置する鉄砲伝来の「門倉岬」での夕焼け。本当に船が漂着したのかと思うほどの断崖絶壁。

H3ロケット3号機打ち上げ成功のニュースも新しい種子島。この島のレンタカー事情に一石を投じるカーシェア型レンタカーサービスが打ち上がった(立ち上がった)。最先端の技術をあつめて宇宙に飛び立つロケット基地の島だが、これまでのレンタカーはアナログ。そんな中でスマホで予約、そしてスマホが鍵になる『バーチャルキー』を使うことで、いつでも借りられるレンタカーが「エブリタイムレンタカー」こと"エブカ"だ。この事業を始めた合同会社kindの経営者である田中兄弟にサービスの狙いなどを伺った。

◆オーナー兄弟は岡山など関西在住。遠隔でカーシェアを事業化

種子島は九州の最南端・佐多岬から南東へ約40kmの洋上に位置する細長い島。歴史上では日本に鉄砲が初めて伝来した島として伝えられ、今は我が国唯一の実用衛星打ち上げ基地「種子島宇宙センター」があることでも知られる。

この地でエブカを経営するのは合同会社kindの田中さんご兄弟のお二人だが、実はこのお二人、種子島で事業を進めながらも現地には住んでいるわけではない。住んでおられるのはお兄さんが岡山で、弟さんは大阪。お兄さんは駐車場を含む不動産業を営み、弟さんは別の会社の社員でもある。(ゆえに今日は田中兄弟としておふたりを紹介する)

つまり、田中兄弟は離れた場所に居ながら種子島でのカーシェア型レンタカーサービス事業を実現している。もちろん、利用者にもカーシェア型ならではのメリットはある。一般的にレンタカーの場合は、営業所があり、カウンターで所定の手続きを経て車両の受け渡しを行うが、カーシェア型の場合は、営業所はなく、事前にアプリ上で予約しておけば、現地は無人でクルマだけ、スマホを使って車両のドアを解錠して利用できる。「エブリタイムレンタカー」"エブカ"の名称は「いつでも借りて、返せる、という利便性を名前をみてわかるようにしたかった」(田中兄弟)という理由なのだ。

このサービス実現はPattoというバーチャルキーを利用した多くの事業者が共通で使えるカーシェア型レンタカーアプリをつかうことで実現している。バーチャルキーは自動車の鍵をスマートフォンに置き換えるスマートロックシステムのことで、認証サーバとスマートフォンにインストールされたPattoアプリ、そして専用車載器によって構成される。

◆手厚いサポート体制がきっかけ

田中兄弟が種子島で「エブカ」を始めようと考えたのも、このカーシェア型レンタカーならではの仕組みを知ったことが大きかったようだ。

じつは田中兄弟の弟さんは、これまでに宇宙ロケット関連の仕事でここ10年ほど何度も種子島を訪れていた。そんな中で「種子島でレンタカーの需要が追いつかず、常に足りない状態が続いている」ことを感じた。その大きな要因が、種子島の沖合にある馬毛島において、航空自衛隊の馬毛島基地(仮称)の建設工事が続いていることだった。

弟さんによれば「工事関係者はほぼすべて種子島に宿泊しており、宿泊施設は常に満室状態。よって(馬毛島へ行くための)フェリー乗り場周辺だけでなく、港から遠いエリアに泊まらざるを得なくなっている。移動や休日の買い物のためにクルマを使いたい人が多く、これがレンタカー需要が逼迫する要因になっている」というわけである。

ただ、種子島でレンタカー事業を始めるにはクルマ以外にも営業事務所の開所や人材面、資金面で相応の負担が生じる。そんな矢先にバーチャルキーの存在を知ることになったという。

「無人レンタカーならば自分たちにも事業展開のチャンスがあるのではないか」そう考えて問い合わせた。

「遠隔地での新規事業は何かと不安はある。そんな中でもある事業者は数十台をワンオペでできている話を聞いた。それが実現できているのも、コールセンターを含め、理想的なサポート体制が安心材料になった」と、バーチャルキーと組み合わされるクラウド&アプリの「Patto」のサポート体制がとても手厚いことがわかった。

もうひとつ「Pattoアプリは時間単位で細かく貸し出しができ、その上で24時間いつでも返却できるのは、貸し出す際の間口を広げるメリットが生まれる。しかもそこには人が一切関わらずに済む。事業者にもユーザにも優しいことが事業をさらに魅力的にした」と話す。

田中兄弟は、この365日24時間対応のコールセンターに加えて、現地入りしてステーションにできる駐車場の確保を行い、地元の整備工場やスタッフとの提携で、もしものときの現場対応も万全に整え「エブカ」のオープンに備えたのだ。

◆利用者にとってもメリットが大きい「エブカ」のレンタカーサービス

エブカでは既存のレンタカー会社よりもリーズナブルな料金も魅力となっている。これは、人件費が不要のオペレーションと中古車を使うことで実現できたそうだが、もちろん、年式が古いとはいえ、車両整備は現地の整備会社と契約をして定期的なメンテナンスを実施。また、配車場所については、馬毛島からの工事関係者を受け入れることを主力としていることもあり、フェリーターミナル付近からの展開にした。

万が一の保険についてもサポートは万全だ。取材時点では対人保険:無制限、対物保険:1事故無制限(免責ゼロ)、車両保険:1事故時価額(免責ゼロ)、人身傷害補償:1名に月3000万円が付帯する。ただし、事故が発生した際のNOC(ノンオペレーションチャージ)は利用者負担となる。その他、規定あり。

◆JAXA関係者に便利な登録済み車両を用意

エブカのホームページ上で気になる表記を見つけることができる。それは「全車両JAXAレンタカーカード(業務用)・ロケット系、衛星系)登録済」というものだ。

これは、JAXA関係者がレンタカーで制限エリア内に入る際に、車両側の登録が事前に済んでいることを意味するもの。制限エリアにはいるためには人に対する登録と車両に対する登録が別々に必要であり、エブカの車両であればだれでも制限エリアに入れるということではないのでご注意を。

種子島は宇宙センターのロケット事業関係者や馬毛島の工事関係者だけでなく、ロケットの打ち上げを見学に来るひと、マリンスポーツを楽しむ人など多くの旅行者も訪れる島だ。

とくに感動的なロケット打ち上げを見てみたいと思う人は宇宙センターのホームページに随時ロケット打ち上げスケジュールが公表されるので頻繁にチェックするとよいだろう。打ち上げ日時がわかったらすぐにPattoアプリで「エブカ」車両の予約をお勧めしたい。アプリなので予約もキャンセルも気兼ねなくできるのが「エブカ」のメリット。ミニバンタイプを選べば複数人数での車中泊も可能だろう。世界でも数か所、年間でも数回づつしかない宇宙ロケットの打ち上げを目撃できるチャンスは少ない。まさに一生に一度の思い出になるに違いない。

「エブカ」ことエブリタイムレンタカーは6月6日にミニバン×2台、コンパクトカー×2台の計4台でスタート。1分単位で予約ができ、料金は1時間から6時間、24時間、48時間が指定できる。延長料金は1時間ごとに計算される仕組みだ。長期貸し出しにも対応することもできるという。

今後は田中兄弟が駐車場事業を展開している大阪や岡山、神戸などにも拡大する構想を持っており、サービスを提供するに当たっては、「エブカ」ブランドでの展開することを想定しているという。

身近な足としてエブカの今後の広がりを期待したいと思う。

《会田肇》

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