マツダは、1月26日に国土交通省から要請を受けた「型式指定申請における不正行為の有無等に係る実態調査」に基づき、調査を行なった結果、2つの試験項目において、計5試験で不正があったことを確認し、5月30日に同省に報告した。マツダが6月3日に公表した。
調査対象期間は2014年1月から2024年1月の10年間、すべての型式指定申請は2403試験あった。今回判明した不正の対象となるのは、生産実績として15万0878台、販売実績として14万9313台となる。
■不正の概要
不正は、(1)過去生産車3車種について、衝突試験における試験車両の不正加工、(2)現行生産車2車種について、出力試験におけるエンジン制御ソフトの書換えの2項目であった。現場で法令(試験の方法)の解釈に誤りがあったこと、マネジメントでそのチェックができなかったことが原因であるとする。
(1)の衝突試験における試験車両の不正加工では、前面衝突時の乗員保護に対する認証試験において、エアバッグを車載センサーの衝突検知による自然起爆ではなく、外部装置を用いて時間指定で起爆させた試験実績があった。
該当車種はいずれも日本市場向けの『アテンザ』(商品改良モデル)、2015年1月~2018年5月頃に販売された2万9505台、『アクセラ』(商品改良モデル)、2016年9月~2019年3月頃に販売された4万6046台、『アテンザ/マツダ6』(商品改良モデル)、2018年6月から販売された2万1641台。
(2)の出力試験におけるエンジン制御ソフトの書換えは、ガソリンエンジンの原動機車載出力に対する認証試験において、量産車両と同一状態のエンジン制御ソフトにより出力試験を行なうべきところ、点火時期補正機能の一部を停止させた制御ソフトによる試験実績があった。
該当車種はいずれも日本市場向けの『ロードスターRF』(商品改良モデル)、2018年7月から販売された1万0760台と、『マツダ2』(1.5Lガソリンエンジン搭載、商品改良モデル)、2021年6月から販売された4万1361台。
■調査結果を踏まえての対応
今回の調査結果を踏まえ、既に生産を終了している上記(1)の3車種は、社内において技術検証および再試験を行ない、前面衝突時の乗員保護性能について法規で定められた基準を満たす性能を有していることを確認したという。ユーザーは該当する車両に引き続き乗って安全性の問題はないとする。今後、法規適合性の確認などの対応を国交省と相談しながら進めていく。
また上記(2)の試験については、安全性に関連するものではなく、ユーザーは当該車両を引き続き乗ることができる。今後、再試験を行ない、改めて型式指定について当局の審査を受ける準備を進める。新車の出荷は5月30日より一旦停止した。
■不正の原因と再発防止策
不正の原因と再発防止策としてマツダは、(1)試験が認証法規に準拠した状態で実施されたかをチェックする仕組み、およびガバナンス体制の整備不足→再整備、(2)認証法規に準拠した試験を実施するための手順の不備→手順書の見直し・教育・実践の徹底、(3)認証法規に準拠した試験条件を安定的に満たす設備の整備不足→整備強化を挙げる。