ホンダ『フリード』の前身にあたる『モビリオ』の登場は2001年12月のこと。個人のひとつ上の「家族」に焦点を当てて開発されたというモビリオは、スモールミニバンのベンチマークになるとの自負とともに登場した。
「グローバル・スモールプラットフォーム」をベースとし、前席床下にガソリンタンクを収めた低床レイアウトは初代『フィット』でも採用されたもの。モビリオでは全長4055mmのコンパクトなボディにショートノーズを採り入れるなどし、ボクシィで開放感のあるキャビンスペースを確保。室内レイアウトは2+3+2の7名乗車とし実用性も確保した。
サードシートはセカンドシートの下に格納する方式を採用したほか、セカンドシートはハネ上げ式とし、床から1360mmのクリアランスが確保できるなど、多彩なシートアレンジが盛り込まれていた。
ユーロトラム(欧州の路面電車)をイメージしたスタイリングは垂直と水平が基調、当時としては“新しい乗り物感”を表現した。後席用スライドドアは左右両側に備え、子供での乗り降りがしやすい405mm(FF車)の低床は売りのひとつだった。
一方でモビリオのバリエーションとして2002年9月に登場したのが『モビリオ・スパイク』。外観上はフロントまわりと窓のないリヤクォーター部分が特徴。「ガレージボックス」がコンセプトで、後部スペースを秘密基地のように使えるようにした。5名乗車だった点もベースのモビリオとの違いだった。