「初の5兆円突破」――。2024年3月期決算ではトヨタ自動車の本業のもうけを示す営業利益が話題となったが、インドなどの販売が絶好調のスズキも売上高で初めて5兆円を超える過去最高だったという。
そのスズキの売上高は45兆円強を計上したトヨタのわずか9分の1にすぎないが、そんな同業他社との差を鮮明に示すような自動車大手7社の業績が出そろい、きょうの読売や日経などが取り上げている。
それによると、自動車大手7社の24年3月期連結決算は、トヨタを中心に“お家芸”のハイブリッド車(HV)の北米での販売が好調のほか、商品力の向上に伴う値上げ効果や、止まらない歴史的な円安も追い風で、売上高は全社が過去最高を記録。本業のもうけを示す営業利益も全社が増益で、このうち、日産自動車とスバルを除く5社が過去最高を更新したという。
また、最終なもうけを示す純利益では、主力の東南アジア市場で苦戦した三菱自動車を除く6社が増益で、ホンダは前期比70%増の1兆円の大台に乗せたものの、5兆円弱のトヨタとの差は依然として大きい。
一方、2025年3月期の見通しをみると、国際会計基準に移行して単純比較がむずかしいスズキを除く6社が最終減益を見込む。為替の想定レートを1ドル=140~145円を設定、現時点より円高・ドル安になるとみて円安効果は見込めないほか、労務費などの高騰が懸念される取引先を支援する費用や電動化に伴う投資がかさむことがマイナス要因として大きいなどと分析している。
こうした中で、きょうの朝日は、好調な自動車を含めて上場企業の24年3月期決算の純利益の総額が「3年連続で過去最高になる見通しだ」として「歴史的な円安と相次ぐ値上げが、企業の業績を大きく押し上げている」と指摘。
一方、円安の負の側面や中国経済の動向のほか、「消費者の『値上げ疲れ』を警戒する声も出ている」とも。純利益が1兆円を超えたホンダが、モデルチェンジの際に性能を引き上げつつ値上げした軽自動車の『N-BOX』などを例にあげて伝えている点も気になるところである。
2024年5月14日付
●脱炭素戦略策定に着手、政府「2040ビジョン」企業投資後押し(読売・2面)
●車大手7社売上高最高、北米HV好調、円安追い風(読売・8面)
●最高益 値上げに工夫あり、モデルチェンジで性能引き上げ、安い新製品を同時投入(朝日・2面)
●ソフトバンクG 3期連続で赤字、3月期2276億円「幅」は縮小 (毎日・2面)
●スバル、トヨタとEV4車種共同開発へ (産経・10面)
●トヨタ役員報酬、好業績で最高の35億円 (産経・10面)
●シャープ、堺工場停止、ソニー系に出向検討、9月までに、液晶人材、半導体へ(日経・1面)
●円安でも沈むトヨタ株、為替安定、再上昇の条件 (日経・9面)
●旭化成、自動車シート増産、米中で、高級化に商機 (日経・12面)
●トヨタ株主、外国法人が4分の1 (日経・17面)
●ブリヂストン4%減益、1~3月最終、土地売却の反動 (日経・17面)
●改造車で「ホッピング」走行、警視庁、道交法違反疑いで摘発(日経・39面)